「歩巳[あゆみ]!起きてー」


「う……んっ…………」



飛び込んできたのは、カーテンを開ける音とママの声。



カーテンを開ける時って、よく“シャー”って効果音を使うけど、あれは間違いだと思う。


どちらかって言うと、“フギー”って感じ?



都合の良い解釈かもしれないけど、カーテンだって

「無理に引っ張らないで!」

って、訴えてる気がする。



「ほら!いつまで寝てるの?」



カーテンの次は布団。


慣れた手つきでわたしがかけてる布団を剥がしたママは

そのままわたしのお腹をぽんっと叩いた。



「それでも高1なの!?まるで小学生じゃない!
ほら、早く着替えて下りてきなさい!終業式に遅刻なんて恥ずかしいでしょ」



そう言われて、わたしはしぶしぶ体を起こした。


まだ、視界がぼやぼやする。



だんだんと遠くなってくママの声をぼーっと聞きながら

わたしはのっそりとベッドから足を下ろした。