執事と共にホワイトデーを。

――「私が、背負います」


かつて、春樹が言った言葉だ。


――「私が、貴女が抱え切れない分を背負います」


その真っ直ぐな瞳を、今も覚えている。

屋敷の母屋で、唯一キンモクセイが間近で望めるのがこの部屋だ。

恵理夜は、キンモクセイの香りを感じると、両親の思い出と共にあの春樹の瞳を思い出していた。