執事と共にホワイトデーを。


そこは、春樹の自室であった。


広々とした一間。

書斎机、クローゼット、本棚、そしてベッドだけの空間。


――そして、その部屋の主は、いない。


窓際に置かれた書斎机の上に小さな箱が乗っていた。

無機質な部屋に、綺麗にラッピングされたその箱だけが不自然に思えた。


「フェイク、ね……」


そこには、手紙も何もなかった。