お嬢様――そう呼ばれた恵理夜の手にある小瓶が匂いの元だった。

瓶を差し出すその手は、陶磁器のように白く細い。

日本人形のように切りそろえられた漆黒の髪。

そして何より目を引くのが、その眼である。

黒目がちの大きな瞳は、冬の夜空を固めたような黒で、力と意志の強さを感じさせた。


しかし、その眼はやや困惑気味の色を示している。