気配も完璧に消えたな・・。



『ハァ・・』


小さくため息を付く。



「・・どういうつもりですか?」



襖の向こうから沖田の声が聞こえた。



『どう、とは?』



「東の山に佐伯は居ねぇ」


『知っている。出任せだ』


「何故あんなことを?」


何故、かぁ・・・。



『そうだなぁ・・。如いて言うなら・・』



「如いて言うなら?」



誰かが、僕の言葉を反芻した。



『同胞の幸せを壊したくはなかった・・・だろうな』



それだけ言うと、庭に降り立った。









『じゃぁな。”嘉川”』