「夕餉をお持ちいたしました」


『あ、どうも』



ちらりと白羅に目を写せば、かなり目が輝いていた。



『あ、すいません。尋ねたいことがあるんですけどいいですか?』


「へぇ。なんなりと」


『今は、何年何月何日ですか?』


「妙なことお聞きなさりますなぁ?今日は、文久4年6月5日どす」


文久4年・・1864年か・・。


『そうですか。ありがとうございます』


「いいえ。それよりお客はん。今日はあんまり部屋からお出でなさんなや」


『はい?』


「今日はあんまり関わらん方がええ客が来とるんどす。せやから、あんま部屋から出んと居てください。」


『わかりました。でも、どうしてそれを僕に・・』


「何年もここに勤めていたら分かります。あんさんはええ人や。善人を巻き込むわけにはあかんやろ?せやから、お気をつけてな?」


『ありがとうございます。中居さんも気をつけて』


「まぁ、ほんまの理由はそのごっつ綺麗な顔に傷つけたくないってぇのが本心なんですがねぇ。まぁ、ごゆっくり」


最後ににっこりと笑ってから中居さんは部屋を出て行った。