鬼の名の下

廊下を歩いていれば、ふと沖田が後ろで止まったのに気が付いた。


『沖田?』



「貴方は、血を流すのに抵抗がないんですか?」



振り返って聞いてみたが、内容が内容だったから再び歩き出す。



『抵抗?ないな』


答えながらも歩き続ける。その後を沖田も付いてくる。



「もっと自分を大事にしよう、とは思わないのですか?」



『自分を大事にっていうのは誰かが自分を大事に思っていてくれるから成り立つんだよ』


「だったら貴女には明ちゃんが居るでしょう!」


『明は本当に優しい子だよね。だから目の前で死のうとしている人間をほっておけない。ただ、それだけのことだよ。』


「そんなことはっ!!」


『ないと言い切れるか?』


沖田が息を呑むのを感じた。僕は今どんな表情をしているんだろうか。


きっと冷たい表情を、冷めた目をしているんだろな。