そんななか、
恭ちゃんの結婚が決まりました。


お相手は、
恭ちゃんの会社の後輩で、
私も何度か面識がありました。
礼儀正しくて、可愛らしい子です。

大学時代付き合っていた彼女とは、
社会に出てからすれ違いが多く、
別れてしまったと聞きました。



私は喜び勇んで、
友人代表のスピーチしてあげようか?
なんて冗談を言ってみたりしました。

本当はスピーチなんて、
恥ずかしいやら何やらで、
出来もしないのに。



そんな冗談を聞いた恭ちゃんは、
いつかみたような真剣な目で私に言いました。


「スピーチは田野に頼んである。」