年が明けると、
慌ただしく毎日が過ぎていきました。

お正月を楽しむ間もなく、
受験へと突入したのです。


結果は、
恭ちゃんも、私も、
それから田野くんも、
第一志望だった高校に無事合格、というものでした。


田野くんにとっては、
また1年間だけ、市川杏美さんと、
同じ学校で過ごすことが出来るのです。

口には出さないけれど、
彼はそれをとても喜んでいました。


けれど彼は高校に入っても、
彼女とどうすることはなく、
中学のときと同じように、
ただ優しくみつめたり、
時に守るように側にいたりするだけでした。


そうしている間に、
時は瞬く間に過ぎていき、
市川杏美さんは高校を卒業し、
どこかの女子大に進学しました。


そしてまた時が過ぎ、
あの事件が起きました。