だけどやっぱり、
泣いちゃうこともあったんだ。
幼少の頃から人前では滅多に泣かない私だけれど、
いじめられて泣いたあのエピソードだけは
なかなか忘れられないわ。


 園児の『プチ・いじめ』みたいなものが
時々見受けられてね。

しかも場合によっては
小学生や中学生のいじめに匹敵するほど酷かったり。
園児の中にはいじめが特技です!
みたいな子がいるのよ。
子供の頃から極悪よね。
私はいじめられる側だったから、
いじめる側の気持ちは全く分からないんだ。


で、年長組のときに
私が初めて保育園で大泣きした事件があったの。
 時計も3時半を回り、
園児たちを迎えに来た親御さんがちらほら見え始めて、
そろそろ私もお母さんが迎えに来るころかな?って時に、
ロッカーからカバンがなくなっていることに気が付いたの。
私すっごくパニックになっちゃって、
必死に探したっけ。
いくら探しても見つからないから、
すっごく不安で堪らなくなって、
遂に泣き出してしまったの。

先生が駆け寄ってきて
「どうしたの?」って聞いてくれて、
理由を話したら大騒ぎになって
皆で探すことになったんだ。
 そんな時にも、薄情なことに
クラスから逃げたヤツがいたの。
そいつは私が帰る時間になっても、
姿を現すことはなかったわ。

でも優しい子もいたの。
もし鞄が見つからなかったら、
自分の鞄を代わりにあげる・・・
なんて言ってくれた子も。


結局鞄がなくなったのは、
いじめっ子が自分のロッカーの中に隠していたからだったの。
先生の仲裁があって、最終的には相手が自主的に謝って
一件落着という形で終わったのだけれど、
私なぜか謝られてもずっと泣いてた。
何か凄く悲しくってボロボロ泣いてた。
感情が高ぶって止めるに止められなかったのね。