「綺麗だね。」


「キレイダネ。」


「お腹減ったね。」


「オナカヘッタネ。」


「帰ろっか。」


「カエロウカ。」








「好きだよ。」


「スキダヨ。」




今日も、手を繋ぎながら家までの道のりを歩く。

貴方が私に残した唯一のもの。


貴方にそっくりな姿形をした



ロボット。



「君は僕のもの。ずっと僕のものだよ、ね?」

綺麗なのに歪んだ微笑みでそう言った貴方は、自分にそっくりなロボットを作った。


貴方がこの世を捨ててから3年。

私は未だに貴方のもの。

人の言葉をオウム返しでしか喋れない貴方そっくりなロボット。

それでも、貴方が私に残した唯一のもの。

貴方にそっくりな顔、身体、声。

貴方にそっくりな声で


「好き」


の一言が聞きたくて、ただそれだけで私は今日もこのロボットと一緒にいる。

けれど、そろそろ限界かもしれない。


顔だって身体だって手の大きさだって声だって何もかも貴方と一緒なのに、



温もりがないの。

手を繋いだとき

抱きしめたとき

口びるを合わせたとき


あぁ、貴方じゃないと。


絶望を味わう。