不意に声がして振り返るとよっしーが立っていた。
あぁ、いつの間にかアタシは駅まで来てたようだ。
気付かないとか重症だな。
今更になって暑さがジワジワ込み上げてきた。
よっしーも今日は私服で少し大きめのカバンを持っていた。
「遅くなってゴメン。待っちゃったよね。」
わからない。ここまで来た記憶もあまりないのに待ってた時間なんてわかるはずもない。
とりあえずテキトーに笑って誤魔化した。
「大丈夫、それより早く中入ろう?」
ここにいたら日射病になるわ。
よっしーも尋常じゃないくらい汗かいてるし。
「そうだね、行こう?」
そう言って足早に中に入った。
涼しい。それと同時にいろんな匂いがしてきた。
ここは百貨店なので色々な店がある。
アタシはそうゆう匂いを嗅ぐのが好きだった。
花の甘酸っぱい匂い。
コーヒーや紅茶の匂い。
ケーキの甘ったるい匂い。
紙の匂い。
色々な匂いがここは混じっている。

