ゴメン、素直になれなくて

黙る私を見つめて
歩夢は言った。


「俺の友達が…駅前で男と歩く彩ちゃん見たって教えてくれたんだ…」


歩夢は私の頬に触れた。


「そいつが好きなの?」


つ――…と頬から首筋に
その手を移動する歩夢。



一瞬ぴくっとなった手は
すっと私から離れた。



「なんとか…言えよ…!」


「ごめん…」


言い訳なんて出来なかった。


涙で歩夢が滲む。


「俺…彩ちゃんが元カレ忘れてないの気付いてたよ。」


「え…?」


歩夢は皮肉っぽく笑った。


「駅前の男って元カレ?」


「………」


「キスマーク…元カレとヤってきたの?」


「………」


私は今しがた歩夢が触った首筋に手を当てた。



あの一瞬で

先輩キスマークつけてたんだ…



もう…絶望的だった。



歩夢は手にした傘を強引に私に渡すと、雨の中を走り去って行った。