「緊急事態発生!」

防御壁内に突如、響くサイレン。

空を飛び回る魔物の数が、増えていく。

町に緊張が走り、女子供は石造の家屋に避難した。

その代わりに、対空用の砲台が、町の道路が割れ、地下から姿を見せた。

翼ある魔物である烏天狗が、巨大な口に羽をつけただけという卑猥な魔物達に命じた。

すると、まるで岩でも落ちてくるように、口の魔物が文字通り落下してきた。

「撃て!」

魔物の行動が合図となり、砲台からの一斉射撃が始まった。

口の魔物に知能はあまりない。ただあるのは、食うだけである。

砲弾が当たり、風船のように空中で破裂する魔物もいたが…落下してくる魔物の数が、尋常ではなかった。

旺盛な食欲を持つ口の魔物は、女子供が避難している家屋の屋根に着地すると、その家自体を食べ出したのだ。

「くっ!」

砲弾を家の屋根に向けたが、撃つことができなかった。

下手をすれば、家屋を破壊するからだ。

「けけけ」

砲台で照準を合わせていた村人は、真後ろから笑い声がして、戦慄した。

次の瞬間、振り向くまもなく、村人の首が飛んだ。

空で指示をしていた烏天狗が、地上に着地していたのだ。

口の魔物の縦の襲撃に、村人達が気を取られている間に、烏天狗達はこうを描き、壁の側面から、低空飛行で接近してきたのだ。

上に気を取られていた人々にとって、その攻撃は死角となった。

次々と背中から切られる村人達。

「な、なめるな!」

砲台を捨て、村人達は剣を取った。

さらに、家屋の中で控えていた村人達も剣を取り、飛び出してきた。

中には、屋根に穴を開けた口の魔物を、家の中から剣で突き刺す者もいた。

「怯むな!」

村人の数が一気に増えた為、空中へ浮かび上がった烏天狗を、妖精の力を借りた鎧をつけた戦士が追う。

「馬鹿目!」

しかし、それは罠だった。