ティアナがライトニングソードを手に入れてから、二十数年がたった。

その剣は今…娘であるアルテミアに受け継がれていた。

人々の未来を守る為に。

しかし、そう単純ではなかった。




「お前もなのか?」

母親の死の真相を知り、アルテミアは闇に落ちた。

人を憎むアルテミアの前に、ライトニングソードを持った僕が立ち塞がる。

「赤星!」

アルテミアの涙。アルテミアの悲しみ。アルテミアの憎しみ。

そんな中で、目覚めた僕にライトニングソードの中に残るティアナの意志が語りかける。

(あの子を救ってあげて)


「全力でこい!」

アルテミアの魔力が上がる。

「僕は…アルテミアのことが…」

アルテミアから放たれた空雷牙を切り裂く…ライトニングソード。

「好きなんだ!」

その言葉も、思いも…届かぬまま、悲劇は繰り返される。






「行くのか」

戦いを終えてすぐに、立ち去ろうとするティアナを、長老は呼び止めた。

「はい」

ティアナは、笑顔で頷いた。

「すまない」

長老は突然、頭を下げた。

「その剣は、わしらの守り神であったが…疫病神でもあった。これを奪われないように、わしらがずっと守ってきた。魔物に狙われながらも…この土地で」

「おじいさん…」

「今度は、あなたが狙われる!」

長老の叫びに、ティアナは首を横に振った。

「そうではありません。この力はきっと、人々の役に立ちますよ」

ティアナはそう言った後、瓦礫と化した町を見た。

その悲しそうな瞳を見て、長老は言った。

「町は復興する。人がいるかぎりな」

その言葉に、ティアナは頷いた。

「そうですね」

「ああ…そうじゃ」

長老も頷いた。

「あたしは守ります。人間を。それが、未来につながるように」

ティアナは、笑顔を町に向けた。



去っていくティアナを見送る長老の前に、赤ん坊を抱いた母親が来た。