ティアナは苦笑し、

「求めた訳じゃありません。それをやつらから、守りたかっただけです。バンパイアキラー…伝説の武器ですが、それがこの地にある。それだけで抑止力になります」

神殿を見上げ、

「例え…ここになくても、他の町にあるのかもしれない。そう思わすことで、あなた達は、身の危険を感じながらも、ここで暮らす人々を守って来た」

ゆっくりと長老に視線を戻した。

真剣な眼差しで、長老を見つめ、

「その伝説を破ることはしません。そして、それよりも今は…この町を守りたい」

拳に力を込めた。

「…あなた様は…」

目を見開く長老を見て、ティアナは照れたように、顔を逸らした。

「す、すいませんが…剣を貸して下さい」

神殿から、広場に向かおうとするティアナに、長老は最後の質問をした。

「あなた様は、おいくつになられる!」

「つい先日…11になりました」

「11!」

ティアナの年齢を聞き、長老は絶句した。

ティアナは長老に頭を下げると、男達の方に向かった。

「我々は…」

長老は、離れていくティアナの後ろ姿を見つめ、

「守るべきものに、守られたのか」

ゆっくりと目を閉じた。

11には見えない程のオーラ。

どれ程の死線をくぐり抜けて来たのか…想像もできなかった。

「何とかいうとか」

長老の目から、涙が流れた。





そして、数時間後、朝が来た。