夕焼け色の再会


「今日はなんだか振り回してしまって、疲れたんじゃないかしら?」

「いえ、お食事も美味しかったですし、ああいうところは初めてでしたけど楽しかったです」

「それなら良かったわ。それに嘉人さんの言っていたとおりね。さすが、マナーも完璧だったわ」


そんな会話をしながら、叔母はわざわざこんな話をしに来たのだろうかと考える。

こんな話なら私の部屋でなくてもいつだってできる。



「明日はお義母さまも一緒に永野屋にお買い物に行こうと思うのだけど、いいかしら? お義母さま、女の子の服を見るのが楽しいらしくて、はりきっているの。クローゼットの中の服はほとんどお義母さまが選んだのよ」


永野屋―永野屋百貨店―といえば、全国に店舗を持つ老舗の百貨店だ。

きっと明日の私は祖母の着せ替え人形になるのだろう。

長谷川家のような名家なら、わざわざ出向かなくても外商が家まで訪問してくれるのだろうけれど、祖母はどうしても『孫と買い物』がしたいらしい。

少し前までその所在どころか存在すら知らなかった祖母だけれど、これもひとつの孝行になるのだろうか。