鬱々とした気分ばかり背負っていてもなにも変わらない。
少しでも気分を変えようと、入浴することにした。
バスタブに湯を溜めながらクローゼットを開ける。
パジャマが数種類用意されているのを見て、たった三泊しかしないのに、と思いつつもなぜか少し嬉しかった。
しかしよく見ようとそれらを広げると、すべてワンピースタイプのもので、どうやらパジャマというよりネグリジェだった。
無駄にひらひらとしていて、どう考えても寝にくいと思う。
一緒に見つけた下着類はなぜか私にちょうど合うサイズで、どうしてわかったのかと驚いた。
見るからに上質なレースとリボンがあしらわれたそれを見て、分不相応だと思った。
こういう家の令嬢は毎日こんなものを着て寝ているのかと思うと、本当に住む世界の違う人間たちの考えることはわからない、と思う。
私もこんな世界に染まらなければならない日が来るのだろうか。
長谷川の人間にならざるを得ない日が、いつか。
そんなことを考えているうちに湯が溜まったらしい。
クローゼットの扉を閉めるときに、混沌とした思考も一緒に閉じ込めようとしたけれど、無理だった。


