服だけは上質なものを身につけておきながら、それ以外があまりにも釣り合っていない不思議な格好で、曖昧な笑みを浮かべて私は二人を出迎えた。

この笑顔の意味なんてものはもう、自分でもわからない。



「奥様から、お嬢様の準備をお手伝いするようにと申しつけられましたので」


自分よりも年上―と言っても二十代前半くらい―の女性に、ここまで畏まった態度をとられるのは居心地が悪い。


何度も思っているけれど、私はここのお嬢様ではない。

私に社会的な地位があるわけでも、価値があるわけでもない。

それなのにどうして、まるで私まで敬う対象のように扱われるのか、それが腑に落ちなかった。


けれどそれをこの二人に言ったところでなにもかわらないだろうし、なにより困惑させるだろうからやめておいた。



「・・・・お願いします」


それだけ呟いて、私はドレッサーの前の椅子に腰かけた。