吹き抜けの玄関は明るく、白い大理石が余計にそう見えさせているのだろう。

眩しいくらいの光で視界に一瞬もやがかかって見えるほどだった。

お辞儀のウェーブに迎えられ、ふんわりとしたルームシューズに履き替えさせられ、上着を脱がされ、よくわからないままに応接間らしき場所に通された。


そこに、叔父と叔母、そして祖母がいた。



「やあ、待っていたよ」


優雅に立ち上がり、品のある微笑みで私に座るよう促した叔父は、心から私を歓迎しているように見えた。


「こんにちは。お久しぶりです」


それに応えるように、精一杯無邪気に、華やかな笑顔を振りまく自分がとても滑稽に思えた。

まるで操り人形のように。

操っているのは私自身だけれど、もうそれは制御不能に陥っている。


本当はやめたいのに、もう終わりにしたいのに、自分の意思ではどうしようもないほど、虚構の私が大きくなりすぎてしまったから。