「香穂・・・・香穂・・・」

 私の名前を呼ぶ・・誰か・・・・誰なんだろう・・・?


「香穂!!!」

 香穂・・・そう・・・・・私は櫻葉香穂。中学2年生。


「香穂!!起きて!お父さんが!!・・・・・香穂っ!!!」

 母が涙を流しながら私に叫ぶ・・・。
 朝6時。マダおきる時間じゃないは・・ず・・・。

 私はいやいや眠い目をこすりながら体を起こす。
 この時は一生忘れない・・・・・。
 運命の時計の針は朝早く前触れも無く突然うごきはじめた・・・・。
 
 


 カナシミトトモニ・・・・・・・・・。





「・・・どうしたの?お母さん・・お父さんが・・どうかした?」

 何も分からない私に母は嗚咽を漏らしながらこういった・・。

「ぅうっ・・お父さんが、お父さんがね・・・・ッ・・


朝、交通事故にあって・・・・ぅうっッ・・しっ死んじゃったのぉ!!」

 私は凍りついた・・目を大きく開け、固まっていた。



 噓でしょう・・・・・?
 お父さんが・・・・?
 
 
 目の前が真っ暗になる・・・・・。




「・・・・っう噓でしょ・・?噓だよ。お母さん!!・・・うそっていって!!!」


私はお母さんの肩をゆすりながら、大きな声で叫ぶ。
こんな声、体育祭でも合唱コンクールでも出したこと無い・・・ってくらい
叫んだ・・・叫んだ・・・・。
でも母は、ぐったりして、なにも答えなかった・・・・・。

「そんなっ・・・ぅううっ・・・お父さん!!おとうさぁん!!!!」

 私たちはないた・・・泣いたらお父さんが帰ってくるわけでもない・・
でも、私たちには泣くしかなかった・・・。

 お父さんの優しい笑顔が一気によみがえっていた・・・・・。
どんなときでも笑顔を絶やさなかった父、そんな父を私は尊敬していた。
大好きだった・・・・。


 お父さん・・・・香穂をひとりにしないで・・・お母さんを悲しませないで・・




 お父さん・・・・・・・・






 お父さん・・・・・・・・・・・・・・・