静矢と歩く帰り道は、いつもとは違うように感じた。
 なんだか、全てが輝いているように見えた。
「…あのさ、椿」
「どしたの?」
「これについて、気になるだろ?」
 静矢が取り出したのは、泉に見せられた、静矢と泉のツーショット写真。
「え…」
「心配するなよ、これ、ただの合成写真。」
「そーなの?」
「そーだよ。………あいつ、俺に告ってきたんだ」
「……うん」
「もちろん断ったけどな」
 そして静矢は椿の顔をのぞいて、言った。
「好きな子がいるから、って。」
 その好きな子が自分だって考えると、恥ずかしい気がする。
「それでも、あいつは知ってるって。そしてこの写真見せてきた。この写真ばらまかれたくなかったら、付き合ってくれって。偽者の写真見せながらそんなこと言ってくるんだよ。偽者の写真でもばらまかれたらみんなが信じるって。…もしかしたら、それ以上なんか言ってきたら、俺、あいつのこと殴ってたかもしれない。」
 静矢の声には、わずかに怒りがにじんでいた。