椿は放課後、仲良くなった友達とファーストフード店で語っていた。
「てかさぁ、マジで椿は好きな人とかいないの??」
「ちょ…声デカいんだけど」
 高校になり、仲良くなった佐山さつき。
「え、じゃぁ…さつきは?」
「B組の高橋ヒロトくん!かっこいいよね~」
「告白とかしないの?」
「するわけないじゃーん。私が高橋くんを悩殺するの!椿は?かわいいから告白されたりするの?」
「……………」
「あれ?もしかして…」
「……されました」
「うそ!?いつ!?」
「卒業式の、とき……」
「返事は!?」
「まだ、返してない」
「同中の人なんでしょ!?」
「う…ううん」
 さつきは天井を見て、そしてまた椿のほうをみた。
「うっそぉぉぉぉぉぉ!!!」
「嘘ついてどーするの」
「え、え!?私の知ってる人!?」
「うん、そうだけど…声、デカすぎ」
「あ、あぁゴメン。でも、ホント?」
「うん」
「ねぇ、誰?」
「……言えるわけ、ないじゃん」
「………そーだよね。じゃあ、当ててもいい?」
「うん、いいよ」
「高校は?」
 質問するんだ、って思いつつ質問に答える。
「同じ」
「クラスは?」
「同じ」
「席は?」
「近い」
「んーと…、えっと…」
 その後、さつきはひらめいたように言った。
「もしかして、蒼谷くん?」