「仕方ないだろ、服着てたら癒せないんだから」

 だが悠は、平然と言い返す。

「だからってなんで全部脱がす必要が」
「濡れてたら風邪引くし」
「あ゛〜もうっ!」

 アホかぁ〜、と頭を掻き毟る綾。
 それでもぎゃあぎゃあと文句を言い続ける綾を見かねて、沙織が口を開く。

「…よかったら、私の服を貸すわ」

 いつまでも裸でいる訳にもいかないだろう。
 せめて服が乾くまで、自分のを貸してやることにする。

「そう? ありがとう」

 沙織の言葉を聞いて、ようやく綾は文句を言うのをやめた。

「…今行くから。奥の部屋に行ってて」

 半ばため息まじりに、沙織は立ち上がった。
 この時点で、この連中はどうやってもここに居座りそうな気がしてならなかった。
 そして、その予感は現実のものとなる。