一方、岬の灯台へ続く道。
 悠は敵の嵐のような攻撃を防ぐことしか出来なかった。
 一瞬でも気を抜けば、槍のような衝撃波が、悠の防御壁をも突き抜けてくる。

(もう時間がない…)

 内心焦る悠。
 灯台まではもうすぐなのに、近づくことすら出来ない。
 女は顔色ひとつ変えずに、すっと右手を動かす。
 同時に襲って来る強い衝撃。

(このままじゃ…埓があかないな…)

 悠は、女の攻撃が途切れた一瞬の隙を狙って攻撃を仕掛けた。
 だが女は、それを軽く避けると物凄いスピードで移動して、後ろから悠を地面に叩き付ける。

「……っ」

 激痛に、顔をしかめる悠。
 だが、また背後から殺気が迫っていた。

(避けきれない…!)

 続けざまに繰り出される攻撃に、こっちの動きが鈍る。
 見上げた時には既に、女が間近に迫っていた。

「…!!」

 だがその時、女は自分の目の前に防御壁を作った。
 次の瞬間、閃光が女の目の前で弾け散る。
 見なくてもわかる――これは、長年馴れ親しんだ気配。

「遅かったな」

 立ち上がり、悠が言った。

「すまない。ここでも足止めか」

 悠の横に、綾と諒が並ぶ。

「みんな集まったのね…でも、同じ事…」

 女は変わらない様子でそう言った。

「この声…一樹の所で聞いた声だ…!」

 綾が呟く。
 女は宙に浮き上がると、両手を高くかざす。

「…何者も、邪魔はさせない」

 頭上から来る、雨のような攻撃。
 三人は素早くそれを避けた。
 相手の攻撃が途切れずに、反撃のタイミングがつかめない。
 一瞬の隙もない。
 綾と諒は女の前後にまわりこむ。
 だが、一瞬で女は消えた。

「どこに…うわっ!」

 綾は背中にダメージを受けて、前のめりに倒れた。
 次の瞬間、諒も倒れる。
 悠は目を見張る。
 今のは消えたのではなく、女が物凄いスピードで動いたのだ。
 悠のフォローも間に合わない程に――。
 まともに衝撃をくらってしまった二人は、動けないでいる。

「もう少し…あと少しで、力が手に入る…無敵の力が」
「ふざけんな…!」

 綾は歯を食い縛る。
 悠が綾を抱き起こした。