「だから、しばらくは何も聞かないことにする。もちろん出て行けなんて言わないから、安心して?」
「沙織ちゃん…」
ほっとしたように、悠は言った。
沙織は少し笑って、リビングには行かずに自分の部屋に戻って行った。
「確かに、こんな現れ方じゃ信用しろって方が無理だよな」
リビングに戻った悠に向かって、諒が言った。
まぁな、と悠は眼鏡を取るとテーブルの上に置く。
「あの婆さん、この場所に俺達より先に人を住まわせていたとはねぇ…」
呆れた様子でそう言う諒を横目で見ながら、悠はカップにインスタントコーヒーを注ぎ、ソファーに座る。
俺には? と諒が文句を言ったが、悠はそれを無視してコーヒーを飲んだ。
「まぁね…彼女のことだ、なんかお考えがあってのことでしょ…」
彼女というのは、当然ここを沙織に貸している大家のことだ。
「風呂あがったよ〜。あれ、沙織は?」
タオルで頭を拭きながら、綾が戻ってきた。
「自分の部屋だよ、綾」
そう答える悠に、綾はふ〜ん、と相槌を打ち、今入れたばかりの悠のコーヒーを横取りした。
自分で入れなさい、という悠の言葉を無視して、綾は言う。
「まさかあんた達、ホントのこと沙織に言ったんじゃないだろうね?」
「そんな訳ないだろ。出会ったばかりなのに…」
悠は苦笑する。
そのまま黙りこんでいる二人を見て、綾は勢い良く二人の肩を抱き寄せた。
「まっかせなさい。何もかも終わらせようぜ。このあたしがついてるんだからさ」
その根拠のない自信は、楽天的な綾ならではのものである。
付き合いの長い悠と諒は、そのことをよく理解していた。
「沙織ちゃん…」
ほっとしたように、悠は言った。
沙織は少し笑って、リビングには行かずに自分の部屋に戻って行った。
「確かに、こんな現れ方じゃ信用しろって方が無理だよな」
リビングに戻った悠に向かって、諒が言った。
まぁな、と悠は眼鏡を取るとテーブルの上に置く。
「あの婆さん、この場所に俺達より先に人を住まわせていたとはねぇ…」
呆れた様子でそう言う諒を横目で見ながら、悠はカップにインスタントコーヒーを注ぎ、ソファーに座る。
俺には? と諒が文句を言ったが、悠はそれを無視してコーヒーを飲んだ。
「まぁね…彼女のことだ、なんかお考えがあってのことでしょ…」
彼女というのは、当然ここを沙織に貸している大家のことだ。
「風呂あがったよ〜。あれ、沙織は?」
タオルで頭を拭きながら、綾が戻ってきた。
「自分の部屋だよ、綾」
そう答える悠に、綾はふ〜ん、と相槌を打ち、今入れたばかりの悠のコーヒーを横取りした。
自分で入れなさい、という悠の言葉を無視して、綾は言う。
「まさかあんた達、ホントのこと沙織に言ったんじゃないだろうね?」
「そんな訳ないだろ。出会ったばかりなのに…」
悠は苦笑する。
そのまま黙りこんでいる二人を見て、綾は勢い良く二人の肩を抱き寄せた。
「まっかせなさい。何もかも終わらせようぜ。このあたしがついてるんだからさ」
その根拠のない自信は、楽天的な綾ならではのものである。
付き合いの長い悠と諒は、そのことをよく理解していた。
