「行ってきます!」
「気をつけてね」
「はぁい!」
あたしは猛ダッシュで高校に向かった。
昨日早めに寝ようと思ったものの、テレビの誘惑に負け、寝坊ときたもんだ。
遅刻でもしたら健さんにだめな子って思われるかもしれない。
「そんなの…やだぁ!」
今までの経験からしても遅刻していいことなどなかった。もしも遅刻したら…悪い想像が次々に浮かび上がる。=====
あたしは首を横にふった。その時何かにぶつかった。「きゃぁ!」
「あっごめん。」
あたしはドテンとしりもちをついた。
太陽がまぶしくて前が見えない。さっと伸びて来た手がみえ、つかまって立ち上がった。太陽が隠れ、前が見えた。その瞬間顔がぶぁーっと熱くなるのを感じた。いろんな意味で。
「健さん!」
「またあったね、加奈ちゃん」
「名前覚えててくれたんだ!」