「おっはよぉ!」
待ちに待った入学式の日。あたしはいつもより早く起きることが出来た。
「あら早いのね加奈」
「うん。入学式から遅刻はイヤだもん」
浅野加奈、勉強はそこそこ。今日は念願の志望校、七つ星高校での入学式だ。
「はやくたべちゃって。」
「はーい!」


準備は順調に進み、制服を整えたらいよいよ出発だ。
「いってきまぁす!」
あたしは家を飛び出した。高校は歩いて20分くらい。高まる気持ちのあまり、走り出してしまいそう。こんな自分になんか笑えちゃう。なに興奮してんだろあたし、バカみたい。
あたしは歩いてる最中、ニヒニヒと笑っていた。
その時、肩をトントンと叩かれた。そっと振り向くと、あたしより少し年上の男の人がいた。
「あの、七つ星高校ってどこですか?」
そして優しく微笑んだ。何だかかっこいい。
もしかしたらこの人、あたしと同じ高校かな??ならいいなぁ。
「あたしもそこに行くんで一緒にいきます?」
あたしはいつもよりゆっくりと歩きながら、いろいろ話した。
この人は横下健さん。普通なら高3らしい。
普通ならってなんだろう。少し気になる。もしかしたら“大人の事情”ってヤツかもしれない。あえて聞かなかった。
これが出会いだった。
「じゃあね。ありがとう加奈ちゃん」
高校についたとき、健さんは立ち止まった。
あぁ、もうついちゃったのか。もう少し話していたいけど、そういうわけには行かない。なんてったって健さんは“大人の事情”なんだから!まぁ、勝手な想像だけど・・・。