CHANCE 2 (後編) =Turbulence=

 



2時間程経った頃、出入り口から20代前半ぐらいの、若いガッチリした男が出てきた。


その男のビジョンには、暗くて細い路地裏で、薬を売り捌いて金を受け取っているところが映し出されていた。


そこで、その男の頭の中に意識を移動して、


《1kgの薬をライジングサンの社長室に隠す様に置いてこい。

その後で、警察に通報しろ!

お前は、警察に日出社長の事を全て話して刑務所で罪を償ってこい!》


と命じた。


こんな事で、本当に巧くいくのだろうか?


彼は、歩いて大通りに向かっていた。


俺は、喫茶店を出て直ぐに車に乗り込み、男の後をつけていった。


男はタクシーに乗り込み、千代田区方面に向かっていた。


古い賃貸マンションの前にタクシーは停まり、男はマンションの中に消えていった。


5分ほどで男は出てきた。


手にはバッグを持って、駐車場に停めてあったGT-Rの2ドアクーペ3.8Lで、V6ツインターボのスカイラインに乗り込んで、勢いよく発進させて新宿方面に向かっていった。


案の定ライジングサンのオフィスの前に停車したスカイラインから、バッグを持った男が出てきて、建物の中に消えていった。


30分ほどで出てきた男は、そのまま自分の車にもたれ掛かり、タバコをふかしながら何処かに電話していた。


それから10分もしない内に、3台のパトカーがやってきて、男が刑事数名と共にライジングサンのオフィスへと入っていった。


30分もしない内に日出社長他、数名のスタッフと関東神竜会の男が、パトカーに乗せられ去っていった。


いとも簡単に事が運んでしまった。


これが力の威力なのか!


そう言えば、ハラボジ(お祖父さん)が、150年に1度生まれて来た特に強い力を持った御先祖様達は、裏で国を動かしていたって言ってたなぁ。


あれってマジなんだよな!


今なら分かる気がする。


この力で、国王を操るなんて簡単に出来ただろう。


だからこそ、間違った使い方をしないように気を付けて行動しないといけない!


とにかく、これでライジングサンプロダクションと関東神竜会がギクシャクするのは間違いない。


日出社長は、当分出てこれないだろうし、ライジングサンプロダクションは、もうおしまいだ。


後は、関東TVの堀内Pと中田Dをクビにしないと。