『オッパ(お兄ちゃん)、お腹すいたよ。
どっか食べに行こうよ。』
「ちょっと待ってな!
オムニム(母上)に電話してからな!
……ピッピッポッ……
ヨボセヨ(モシモシ)、オムニム(母上)、ハンスです。
ハイ、……ハイ……ハイ分かりました。……じゃあ失礼します。」
『オンマ(ママ)何だって?』
「ハラボジニム(お祖父様)が、会長の座から降りてアボニム(父上)に譲るって言うから、引き継ぎでバタバタ忙しくしてるんだって!
今日は、僕達3人で食べててだって!」
『オッパ(お兄ちゃん)、だったら食べに行こうよ。
どっか美味しい処に連れてってよ♪』
「じゃあ早速オルタンシアにでも行こうか?」
『やったぁ~あ!
タンシチュー~♪タンシチュー~♪
ラザニアにカルパッチョ!』
「雅怡(アイ)はご機嫌だなぁ~!
そう言うところは、オムニム(母上)にソックりだな。」
『雅怡(アイ)ちゃんはまだ、色気より食い気なのよ。』
「だよなぁ~!」
『酷~い!
オッパ(お兄ちゃん)もオンニ(お姉ちゃん)も、あたしの事を子供扱いしてる~。』
「ゴメンゴメン!
じゃあ予約入れなきゃ。
あそこはこの時間忙しいからな。」
『オッパ(お兄ちゃん)、赤坂の2号店の方にしてね!
ひかる伯母さんに久しぶりに会いたいから。』
「分かった。
モシモシ、オルタンシア赤坂店ですか?
アッ、白井の叔父さん、ご無沙汰しておりますハンスです。
今から3人なんですが大丈夫ですか?
……ハイ……ハイ……分かりました。
それでは30分後にお願いします。
ハイ、宜しくお願いします。」
『30分後ってことは、8時ね。
アイちゃん、その格好じゃあ入れないわね。
着替えましょ。
私もこんなスーツじゃ嫌だもんね。
お洒落しようっと!』
「僕はこのままで大丈夫だから、待ってるから急いでね。」
『『ハ~イ!』』
予約の3分前に到着したオルタンシア、専用の駐車場は8割がた埋まっていた。
空いてたスペースに黒のレクサスを停めて、3人で店内へと向かった。
「どうもご無沙汰してました。」
『あらまぁハンス君また背が伸びたわねぇ!
一段とお父様に似てきたわ。
スアちゃんもアイちゃんも、ソナさん(僕達の母上の事)に似て美人さんだし、うちの息子のお嫁さんにしたいくらいだわ!』
「ハハハ……」いずれそうなりますよ……
『ひかる、早くお席に案内しないと!』
『そうでしたわね!
どうぞこちらのお部屋に。』
と、案内されたのは、8畳程のアンティークな造りの個室であった。
壁には高価な油絵が飾られ、反対側の壁には、アンティークのサイドボードが置かれてあり、その中にはバカラのグラスがディスプレイされてあった。
「素敵な内装ですね!」
ひかるさんの話しによると、店内の調度品は全て白井の叔父さんがフランスで買い求めてきたものばかりだそうだ。
お陰で落ち着いた雰囲気の中で食事が出来る。
ふと妹達を見ると、そんな調度品には目もくれずメニューに釘付けであった。



