『ハンスや、お前は何故親に嘘をつくんだ!?
昨日も話しただろう、俺たちの力の事を!』
「…………。」
『見えてるんだよ、お前の過去も未来も!
親の職業を隠して、アメリカの芸能界でメジャーデビューを考えているなんて!
無謀にも程がある!
親の地盤が有るんだから、利用できるもんは利用して有名に成れば良いじゃないか!?』
「僕は、自分の力だけで何処まで通用するか試してみたいんです。
確かに、新星MUSICの看板を背負って、ギタリストのチャンス・Kの息子だって言えば、楽かも知れません。
でも、それって自分の実力じゃないし、そんなのって、面白味も無いじゃないですか!
さっきは嘘をついてすみません。
でも、いつかは音楽でボランティア活動が出来たらとも考えているのは本当です。」
『まぁ、自分の力で遣ってみたいなら父さんは止めないけど、そうなると、仕送りも何もないぞ!
何処まで自分だけの力で遣れるか試してみなさい。』
「分かりました。」
『これで儂等の力が分かっただろう!?
お前の体の中にも、明日の0時ジャストから一気に力が芽生えるはずじゃ!』
「アボニム(父上)は、どんな力が有るのですか?」
『俺か!?
俺は、150年に1人生まれる強い力の持ち主なんだとよ。
だから、大抵の事なら出来るぞ!
過去や未来を透視するのは、その人の人生の全てが見えるよ。
物体を動かしたり瞬間移動させたり、サイコメトリーと言って物体の持つ記憶の読み取りとかも出来るし、念写や人間の思考の入れ換えや電気を操ったりも出来るようになったさ!』
「まるでスーパーマンみたいですね.」
『そうだな!
だからこそ、この力を悪用しようとする輩が現れないとも限らない!
だから、絶対に家族にもナイショなんだよ。』
「分かりました。
約束は必ず守ります。」
『お前は強い力を持つチャンスの息子だから、必ずお前にも父親程では無くても、かなり強い力が芽生えるはずじゃ!
お前は、その力に飲み込まれないように、強い意思で力をコントロール出来るようになってもらう!
その為に、お前をこの場所に連れてきたのじゃよ。』
「飲み込まれないように……!?
一体どう言うことなんですか?」
『この力を持つとだな、最初は凄い事が起きるぞ♪
先ずは、今までお前が聴いてきた声や音、音楽や会話などが一気に耳元で鳴り続けるし、強い感情を持つ人の近くに行くだけで、意識を持っていかれて仕舞いそうになる!
特に負の感情に飲み込まれると、お前自身の感情が支配されて仕舞うかも知れないんだよ。』
「そうしたら、どうなってしまうんですか?」
『自殺を考えている奴の感情に支配されてしまったら、お前自身が自殺を遂げないと気がすまなくなり、殺人鬼に意識を持っていかれて仕舞うと、お前自身が殺人鬼になってしまうと言うことだよ。』
「まさか…………!」
『本当だよ。』
「どうすれば良いのでしょうか?」



