翌朝、7時過ぎに目が覚めた。
アボニム(父上)とハラボジニム(お祖父様)は、既に起きていた。
アボニム(父上)は、ソファに座ってアコースティックギターで、作曲をしていた。
「アボニム(父上)、それは、KYUさんへの新曲ですか?」
『違うよ。
今度、新たに見付けてきた新人君の為の曲を作っているんだよ。』
「スカウトしてきたんですか?」
『あぁ、渋谷のライブハウスで歌っていたんだけど、なかなか面白い奴を見付けてな!
日本人なんだけど、凄く英語の発音が良くて、男前だし、背も高くて、歌もKYUに負けないくらいなんだ!
人の歌ばかり歌っていたので、自分で作らないのかって聞いてみたら、苦手なんだって言うから、曲をあげるからうちの事務所に所属しないか!?って聞いたら、二つ返事で了承してくれたよ。』
「今時のミュージシャンって、ホントに軽いのりで事務所に入るんですね!?」
『あぁ、そうだな!
その代わり、軽いのりで辞められるから、きちんとした契約をしてないと、直ぐに移籍問題で揉めたりしてしまうんだから!』
「今作ってた歌は、ラブソングっぽかったけど、タイトルは何て言うんですか?」
『今弾いてたのは、【Emotion】と言う仮タイトルをつけたんだが、どうもシックリこないんだよなぁ…』
「それでは、 Emotionじゃなくて、Feelingを使えばどうですか?
同じ意味でも、そっちの方が柔らかいイメージだし、Feeling to loveとかって単語を歌詞に入れると、明確なイメージを捉えやすいでしょ!?」
『そうだな!
じゃあタイトルも【Feeling to love】でいくかな!』
「ラブバラードにしては、ギターのアクセントの入れ方がロックっぽかったですね。」
『あぁ、BPMを少しだけスローにしたロックを基調としたラブバラードだからな!
ハンスや、お前はこの業界で遣っていかないんのか!?』
「趣味でやってる方が楽しいし、アボニム(父上)みたいに大ヒットしてしまったら、自分の時間が無くなってしまうのは嫌ですから。
オムニム(母上)から、散々聴かされて来ましたから!」
『ハハハ……』
「それに、僕は遣りたいことが決まっていますので。」
『遣りたいことかぁ~♪
一体どんな事を遣りたいんだい!?』
「実は僕、大学を卒業したらアフリカ大陸に渡ろうと思っています。
南アフリカの方に、ボランティアとして飢饉などで苦しむ人達を助けに行きたいと思っているんです。」
『…………。』



