『何か、まだ信じてない顔をしているな!』
『だってそうじゃないですか!
そんな胡散臭い話が信じられる訳が無いじゃないですか!』
『目の前の出来事を信じないとは、お前も頑固だなぁ~♪
じゃあ、これならどうだい!?』
と言って、息子の座っている椅子ごとハンスを空中に浮かした。
『ウワッ、アボニム(父上)何ですか?
椅子が浮いてるじゃないですか!
危ないですから降ろしてくださいよ。』
「これで信じられるか?」
椅子が元の位置に戻ると、椅子から飛び降りたハンスは、椅子の回りを確認したりワイヤーでも有るんじゃないかと調べている。
『どうやったんだろう……』
「恒寿(ハンス)よ、探してもワイヤーなんぞありゃせんぞ!」
『浮きましたよ!
確かに浮きましたよ!
どうやったんですか?』
『どうやったって、これが俺の力なんだよ。
ハンスや、お前にも誕生日が来て20歳になれぱ、いろんな力が目覚めるんだよ。
今は何も信じられなくても、明後日の深夜0時ジャストから覚醒するはずだから!
ここまでの話は分かったかな!?』
『何となく胡散臭いけど分かりました。』
『それでは、大事な注意事項を話すから聞いてなさい。』
『了解しました。』
『この力の事は、私達3人しか知らないんだ!
例え妻や親兄弟にも話してはいけない!
何処から漏れるか分からないからな!
変なことに利用されないように、絶対に秘密にして、人前でむやみやたらと使わないように!
分かったかな!?』
『じゃあ、オムニム(母上)も、ハヌルペクモ(ハヌル叔母さん)も、ハルモニム(お祖母様)も知らないんですか!?』
「そう言うことじゃ!
だから、お前もそれを守って欲しいんだけど、出来るね!?」
『この話が本当なら、必ず守ります。』
『まだ信じてないのか!』
「ハンスや、お前の過去が見えるぞ!
これは、一昨日の出来事だな!
お前、ピアノ学課のジェシカん家のパーティーにお呼ばれして、ジェシカの家族の前でギターで【チェンジ ザ ワールド】を演奏したりしてるなぁ……
その後、彼女の部屋に入って…」『ワァ~~!ハラボジニム(お祖父様)、それ以上言わなくても信じます信じます!』
『何も慌てなくても、お父さんにもちゃんと見えているんだよ!
そっかぁ~♪
ジェシカと付き合ってるんだ!
ちゃんと避妊もしてるみたいだな!』
もう、真っ赤になって下を向いてしまったハンス!
先程から疑っていた割には、あからさまに恥ずかしがっていた。



