「恒寿(ハンス)や!
元気にしていたかい!?」
『はいハラボジニム(お祖父様)、元気にしています。
それより、アボニム(父上)が意識不明の重体って、冗談にしても酷すぎますよ!』
「スマン、スマン、ふざけすぎたよ。
まぁ、それは置いといてじゃ!
さて、恒寿(ハンス)も明後日でいよいよ20歳じゃな!」
『はい、そうです。』
「今から、お前に話しておかなければいけない事が有るから、しっかり聞いておくように!
チャンス、お前から息子に話しなさい。」
『はい、アボジ(親父)!
恒寿(ハンス)、これから話すことは、全て真実の話だから、黙って聞いて欲しい。』
『何か、さっきも騙されたから、今度こそ本当のお話をしてくださいね!』
「チャンス、お前の息子は疑りぶかそうじゃな!
ハンスや、心配せんでも本当のお話をするから、ちゃんと聞いときなさい!」
『はいハラボジニム(お祖父様)アボニム(父上)。』
『先ずは恒寿(ハンス)、ひい祖父さんの事は覚えているな!?』
『はい、占い師として有名だった孝愃(ヒョソン)ひい祖父様ですね。』
『そうだ。
彼は、占いに来たお客さんの過去や未来が見えていたんだよ。』
『また~、アボニム(父上)、そんな子供だましには騙されませんよ!』
『ところが!それは本当の事なんだよ。
因みに、賢主ハラボジ(ヒョンジュじいさん)も私も同じように見えるんだよ。
特に私はずば抜けた力も持っているがな!』
「恒寿(ハンス)や!
飛行機はビジネスクラスは空きがなくてファーストクラスに座って帰ってきただろう。
その上、隣の席には熊川企画の孫娘が座っておっただろう!?」
『ハラボジニム(お祖父様)、どうしてそれを!御存じなんですか?』
「だから、さっきも言っただろう!
過去が見えるからじゃ。」
『昔から高家の長男だけに授かる不思議な力のお陰なんだよ。
そして、その力は20歳の誕生日に発動するんだよ。
だから、お前をここに呼び戻したんだよ。』
『実は彼女から連絡が入っていたんじゃ無いんですか!?』
「チャンスや、お前の息子は疑りぶかいのぉ~!」
『アボジ(親父)、あんな嘘の電話するからですよ。
恒寿(ハンス)や、どうしたら信じるんだい?
……そうだなぁ…、それじゃあ去年のH大学でのアメフトの試合で、優勝した時に貰った最優秀MVPのトロフィーはどこに有るんだい!?』
『それは、クインシーのハウス(ハンスが住んでいる寄宿舎)の僕の部屋のサイドボードの上です。』
『そうか!
良~く見とけよ。』
と言うと、右手の中指から力を封印している指輪を外し意識を集中して、ハンスの部屋からパッ!と消えて、俺と恒寿(ハンス)目の前に有るローテーブルの上にパッ!と出てくるイメージをした。
その時、一瞬ローテーブルの上の空気が膨張した様な感覚が起きて、瞬きをした瞬間にはMVPのトロフィーが現れていた。
『アボニム(父上)、何をしたんですか?
どんなトリックでトロフィーが現れたんですか?』
『トリックじゃないよ。
これが父さんの持っている力の1つなんだよ。』
それでもハンスは、まだ疑心暗鬼でトロフィーを見つめていた。



