CHANCE 2 (後編) =Turbulence=






「恒寿(ハンス)や!

元気にしていたかい!?」



『はいハラボジニム(お祖父様)、元気にしています。

それより、アボニム(父上)が意識不明の重体って、冗談にしても酷すぎますよ!』



「スマン、スマン、ふざけすぎたよ。

まぁ、それは置いといてじゃ!

さて、恒寿(ハンス)も明後日でいよいよ20歳じゃな!」



『はい、そうです。』



「今から、お前に話しておかなければいけない事が有るから、しっかり聞いておくように!

チャンス、お前から息子に話しなさい。」



『はい、アボジ(親父)!

恒寿(ハンス)、これから話すことは、全て真実の話だから、黙って聞いて欲しい。』



『何か、さっきも騙されたから、今度こそ本当のお話をしてくださいね!』



「チャンス、お前の息子は疑りぶかそうじゃな!

ハンスや、心配せんでも本当のお話をするから、ちゃんと聞いときなさい!」



『はいハラボジニム(お祖父様)アボニム(父上)。』



『先ずは恒寿(ハンス)、ひい祖父さんの事は覚えているな!?』



『はい、占い師として有名だった孝愃(ヒョソン)ひい祖父様ですね。』



『そうだ。

彼は、占いに来たお客さんの過去や未来が見えていたんだよ。』



『また~、アボニム(父上)、そんな子供だましには騙されませんよ!』



『ところが!それは本当の事なんだよ。

因みに、賢主ハラボジ(ヒョンジュじいさん)も私も同じように見えるんだよ。

特に私はずば抜けた力も持っているがな!』



「恒寿(ハンス)や!

飛行機はビジネスクラスは空きがなくてファーストクラスに座って帰ってきただろう。

その上、隣の席には熊川企画の孫娘が座っておっただろう!?」



『ハラボジニム(お祖父様)、どうしてそれを!御存じなんですか?』



「だから、さっきも言っただろう!

過去が見えるからじゃ。」



『昔から高家の長男だけに授かる不思議な力のお陰なんだよ。

そして、その力は20歳の誕生日に発動するんだよ。

だから、お前をここに呼び戻したんだよ。』



『実は彼女から連絡が入っていたんじゃ無いんですか!?』



「チャンスや、お前の息子は疑りぶかいのぉ~!」



『アボジ(親父)、あんな嘘の電話するからですよ。

恒寿(ハンス)や、どうしたら信じるんだい?

……そうだなぁ…、それじゃあ去年のH大学でのアメフトの試合で、優勝した時に貰った最優秀MVPのトロフィーはどこに有るんだい!?』



『それは、クインシーのハウス(ハンスが住んでいる寄宿舎)の僕の部屋のサイドボードの上です。』



『そうか!

良~く見とけよ。』



と言うと、右手の中指から力を封印している指輪を外し意識を集中して、ハンスの部屋からパッ!と消えて、俺と恒寿(ハンス)目の前に有るローテーブルの上にパッ!と出てくるイメージをした。


その時、一瞬ローテーブルの上の空気が膨張した様な感覚が起きて、瞬きをした瞬間にはMVPのトロフィーが現れていた。



『アボニム(父上)、何をしたんですか?

どんなトリックでトロフィーが現れたんですか?』


『トリックじゃないよ。

これが父さんの持っている力の1つなんだよ。』



それでもハンスは、まだ疑心暗鬼でトロフィーを見つめていた。