そして、その張常務の代わりに俺が常務として代表取締役の列に名を連ねているって訳だ。
アボジ(親父)は、まだ早すぎるって反対したらしいのだが、李支社長と、白川GM(ゼネラルマネージャー)、金(キム)専務が、是非にとアボジを説得したそうだ。
理由は、後継者として、次期社長になる俺の育成と言うか教育の為にだそうだ。
だったら、常務じゃなく、せめて一理事でも良かったのになぁ……。
現在、アボジは新星グループの会長であり、新星MUSICの社長を務め、その下に専務、常務がいる。
各部所には、それぞれ部長、課長、係長、主任が居て普通の会社と同じである。
その他に部長達を束ねているのが、白川GMだ。
取締役の4人と最高顧問の張さん、それに白川GMと大株主5人の計11名が理事として、席を置いている。
それはさておき、竹中早紀を部屋に案内して、インターホンで秘書に飲み物を頼んだ。
「改めまして、新星MUSIC代表取締役常務兼、XYZギタリストの高長寿(コ チャンス)です。
本日は、急にお呼び立て致しまして申し訳ございません。」
『チャンスさんって常務さんなんですか!
驚きました。』
「一応名前を連ねてますが、形だけで実績は有りません。
親父が、新星グループの会長で、新星MUSICの社長を兼任しているので、補佐をしているだけですよ。」
『そうだったんですか!
ところでお話って何ですか!?』
「単刀直入に言います。
うちの事務所に移籍しませんか!?」
『新星MUSICに……ですか?』
「そうです。」
『どうして私を・・・・?』
「今の事務所に居たら、貴女が潰されて仕舞うからです。」
『何かご存知なんですね!?』
「ハイ。
以前、スタジオ収録で貴方を見かけました。
あの番組は、はっきり言ってヤラセです。
それは、貴女もご存知なんですよね!?」
『ハ…イ…。』
「あの堀内Pって人は、以前から悪どい事を平気でやる人なんですが、うちのタレントの何人かが被害にあってます。
だから、あの人の悪事を公表して、この業界から追放しようと思っているのですよ!
だから、貴女の証言も必要なんです。」
『無理です。
そんな事したら、本当に私の仕事が完全に無くなって仕舞います。』



