『今回は親父を連れて帰ろうかと思ってな!

親父も、来年で80才だし、日本に来て10年過ごしたんだから、残りの余生位は故郷でって事で、明後日一緒に韓国に戻るから。』



「そうですかぁ、ちょっと残念ですね。

ひ孫の成長を見ていて貰おうと思ってましたから。」



『そうだな!

でも、今ならパソコンもテレビ電話もあるし、いつでも韓国に遊びにだって来れるからさ。

親父には、最後はお袋との思い出のこもった家でノンビリ過ごして貰いたいからさ。』



「分かりました。

それじゃあハラボジ(お祖父様)の荷物は……」『心配しなくてもニュースターエクスプレスが全部遣ってくれるから。』



「了解しました。

アッ、それから、今回のドラマ【愛の迷路(サランエミロ)】の主題歌って、元 美racle/Ledyの李昌美(イ・チャンミ)が歌っているでしょ!

日本サイドのCD売り上げが200万枚を突破したそうですよ。」



『韓国の方も、それくらい売れてるらしいな!

演奏しているのも美racle/Ledyだし、7年ぶりに再結成して正解だったな。

チャンスの作戦勝ちだな!』



「イヤイヤ、たまたまですよ。

一端解散させて、それぞれがソロ活動でスキルアップ出来たのも要因の1つだし、再結成って、何かと話題になる上に、田 順榮(ジョン・スンヨン)監督のドラマ【愛の迷路】が大ヒットしてくれたお陰もありますし。」



『うちの役者達も沢山出てるし、ORJANGを解散した後の朴 在虎(パク・ジェホ)が、今じゃ役者で大成功だしな!』



「それにしても、ジェホ氏が柳(ユウ)副料理長の末娘と結婚するとは、未だに信じられないよ。

いつの間に付き合ってたのかも知らなかったし、まさかの韓国メディアの前でのいきなりのカミングアウトしてのテレビ公開結婚披露宴なんてするから、日本で報道されたのを観て初めて知ったし、驚いたし、呼んでくれなかったし…………」



『まぁ、今回の結婚は、俺の作戦勝ちだな!』



「アボジ(親父)が仕組んだんですか!?」



『そうだよ。

ORJANGを解散した後のジェホの身の振り方で相談されてな!

結婚をしたい女性の話から、役者への転向の話に、脱アイドルとして、アダルトな雰囲気で遣っていきたいとも言うから、それじゃあテレビの前で結婚します報道でもして、公開結婚披露宴でもやれば!?って言ったんだよ。

そしたら、マジであいつやりやがってよ。

馴れ初めの再現VTRに自らが出演して、役者としてのジェホを見せ付けたんだよ。

本当に大したもんだ。

見捨てなくてよかったよ。』



「ハハハ!

一時は爆弾を抱えたお荷物でしかなかったもんね!」



『3度も警察に引き取りに行く俺の気持ちが分かるか!?

情けないやら、恥ずかしいやら。

でもなぁ、ビジョンが引き留めさすんだよなぁ!

俺があいつに感謝してる未来のビジョンばかりがずっと見えていたから、だから、奴を見捨てられなかったんだよ。』



「そうだったんですか。

実は、俺も同じビジョンが見えていたんですよ。

兎に角、いつ観てもそのビジョンだったから、安心もしていましたが、俺の能力の低下を疑ったりもしたんですよ。」



『ハハハ!

親子揃って奴に振り回されていたって事か!』



「それから、従兄の智盛ヒョン(ジソンアニキ)が、来期から副社長に昇任する件で、韓国の専務一派が嫌な動きをしているのを知っていますか?」



『あぁ知ってるとも。

問題ないよ。

専務は、残念ながら今期一杯で辞めることになるから。』



「一体どうしたんですか?」



『専務の奥さんの金一派の不正が続々と明らかになったもんでな!』



「なるほど!

そろそろ大掃除の時ですね。」



と言って、親子揃って不敵な笑顔で笑っていた。



新星グループを一枚岩の如く、確固たる物にするために、終に動き出す時が遣ってきたのだ。