マネージャーが、私に電話だよって渡してくれた受話器に、ソッと耳を充てた。
「もしもし!
はじめまして。
XYZのギタリストでチャンスと言う者ですが、竹中早紀さんですか!?」
『ハイ。私が竹中早紀ですが……』
「実は、お話したいことが合って電話したのですが。」
『どういった用件でしょうか!?』
「それはちょっと電話では申し上げにくい内容なんですけど、お会い出来ませんでしょうか!?」
『今、私仕事が無いから大丈夫ですが。』
「それでは今から会って頂けますか!?」
『ハイ。構いませんけど…』
「今、そちらの事務所の下に車を停めているのですが、降りてきて貰えますか?」
『車ですか?
初めての方の車に乗るのは、ちょっと……。』
「私は新星MUSICの者ですから、会社の名前をキズ付けるバカな真似はしませんですよ!
危害を加えるとか、ナンパを目的に貴方を車に連れ込むって言う訳では有りません。
行き先は新星MUSICの日本支社ですから。」
『分かりました。
貴方を信じます。
直ぐに降りて行きますので。
失礼します。』
電話を切って1分ほどで彼女は降りてきた。
さすがグラビアアイドル。
165cmの長身で、スタイル抜群である。
ライトグリーンのタンクトップに白いフワフワのミニスカート、銀色のパンプスにグッチのサングラスといった出で立ちが、何処と無く今時の女子高生っぽく見えた。
ソナも良くこんな恰好してるもんなぁ。
「すみません急に呼び出したりして。」
『別に構いませんけど…、何か全然私達って接点無いですから……どういった事なのかなぁなんて思ってるところです。』
「とりあえず、私の会社に行きましょうか!
話は、それからです。
時間とかって大丈夫ですよね!?」
『さっきも言いましたが、今私仕事が無いんで問題無いですから。』
「まぁ、仕事が無いのが問題なんですよね!?」
『はぁ~!』
20分ほどで新宿の日本支社へ到着した。
彼女を連れて、2階に在る俺専用の部屋に入った。
実は、今年から俺も新星MUSICに席を置いているのだ!
役職は、代表取締役常務。
去年まで頑張ってくれていた張(チャン)常務が定年を向かえ、今は最高顧問として在籍して貰っている。



