時の流れは早いもので、半年後ソナは懐妊した。



二人で俺が産まれた橋本産婦人科へと遣ってきた。



おじちゃん先生は、既に引退しており、今はおじちゃん先生の娘さんが院長先生になっていた。



病院名も、橋本産婦人科病院から【はしもとレディース・クリニック】と変わり、以前見かけた外観はすっかり様変わりして、淡いピンク色の壁と入り口に植えられている沢山の花が、とってもマッチしていてオシャレな病院になっていた。



院内は、子供達が遊べるスペースや子供達が読める絵本も置いてあり、静かに有線で波の音とイージーリスニングミュージックが流れている。



受付に診察券と保険証を出して、



「1ヶ月健診にきました。」



と言うと、



『それでは、こちらのカップに尿を取って、洗面台横の棚に置いておいて下さいね!』



と言って、高山 雅(たかやま みやび)と書かれた紙コップを渡された。



「はい。

オッパ、このバッグ持ってて。」



と、ソナのハンドバッグを預かりソファーに座って待っていた。



数分後、ソナも戻って来て一緒に座って名前を呼ばれるまでキョロキョロと院内を見回していた。



15分程して、漸くソナの名前が呼ばれた。



ご主人様もご一緒にどうぞ!と言われたので、ソナと共に診察室に入っていった。



中には、35才くらいのよく知ってる院長先生がいた。



おじちゃん先生の娘さんは、うちのお袋の実家の韓国家庭料理店の仁寺洞(インサドン)に良く来てくれる常連のお客さんであり、今では定期的にオムニ(お袋)も婦人科健診にこの病院に来ているのだ。



『チャンス君もソナちゃんも元気にしてた!?』



「私は元気でしたけど、妻が最近つわりが酷くて、食欲もないみたいなんです。」



『ソナちゃん、どんな感じかな!?

吐き気だけ!?

それとも目眩や立ち眩みなんてのはあるかな?』



「先生、立ち眩みも目眩も有ります。

吐き気も酷くて、食べたもの殆ど出しちゃうんです。

それに、今は果物以外ほとんど欲しくなくて、今週1週間は、フルーツと豆乳以外何も食べれてないんです。」



『ちょっとそれは酷いですね。

少し栄養を取り入れるために点滴を1本打っておきましょう。

それと、つわりを抑えるお薬も出しておきますからね。

それでは、3Dで赤ちゃんを観てみましょうね♪』



と言って、ソナのお腹にジェルを塗ってからエコーで赤ちゃんを見てみた。



先月観た時より、少しだけ大きく成っていたが、院長先生が言うには少し小さいみたいだ。



まだ男の子か女の子か分からないが、どちらでも健康に生まれてきてさえくれたらそれでよかった。



力を使えば、赤ちゃんのせいべつなんて直ぐに分かるのだが、産まれてくるまでの楽しみにも取っておきたい。



どうせ、ソナの事だから、23週目位には先生に聴くだろうけどね!