済州島(チェジュド)10日目の朝



朝からソナと二人で荷造りだ。



「お~~い、俺のレザーのキャップってどこだっけ?」



『さっきオッパのスーツケースに入れてたじゃない。』



「そうだっけ♪

有った有った!」



『私のYSLのリップ知らない!?』



「そこのポーチに入ってんじゃないの?」



『ホントだ!有った。』



「大体こんなもんかな!?

そっちは?」



『こっちも大体荷造り終わったよ。』



慌ただしい荷造りも終わって、車に積み込んでから、マンスオジサンが淹れてくれたコーヒーを飲んで、一息ついた。



「マンスオジサン、お世話になりました。

今度は、来年の春くらいに又来れたらと思います。

それでは、そろそろ行きます。」



『海珠(ヘジュ)が空港までお送り致しますので。

ヘジュや!安全運転で頼むよ。』



「は~い、お爺ちゃん。」



『ヘジュちゃん、宜しくね♪』



「空港までは俺が運転するから、帰りはヘジュちゃん気を付けてね。」



済州国際空港に到着して、又の再会を約束して、俺達は搭乗ゲートに入っていった。



一旦、仁川(インチョン)国際空港を経由して成田国際空港に着いたのは、夕方の4時を少し回った頃だった。



そこからタクシーに乗って、人形町の自宅に帰ってきたのは更に2時間後であった。



『あ~ぁ、疲れたネェ~オッパ!?』



「そうだね。」



『それにしても結婚して、テレビ放映をしたのに取材陣が一人も居なかったわね。

まさかのオッパの人気低迷!?』



『さぁな?

もしかしたら、俺って気付かれてなかったのかも。

髪型もおとなしい感じにしてたし、服装だって、何時もとは全く違うからな!』



実は、報道陣に囲まれて疲れたくないので、特殊能力を使って俺達が見えないように 細工したんだけどね!




「どっちにしたって、報道陣に囲まれて疲れるよりはましね。

取り敢えず、荷ほどきしてしまいましょ!?」



と言うと、寝室に荷物を運んでスーツケースの中味をどんどんと出していき、洋服ダンスにしまっていった。



化粧品をドレッサーに戻して、パスポートを小型の金庫に収めた。



スーツケースや大小の旅行カバンを、ウォーキングクローゼットに戻してから、二人ともラフな格好に着替えて1階へ降りていった。



『オッパ、今晩は何を食べたいですか?』



「そうだなぁ………今日は、簡単に外食しようよ。

仁寺洞(インサドン=お袋の実家の韓国家庭料理店)にでも行くか?

結婚後の挨拶もしなくっちゃいけないし。」



『どうしよう、何かまた緊張してきたわ。』



取り敢えず電話したら、オムニ(お袋)は実家の方にいた。



今日俺達が帰って来るのを言ってたので、夕飯の用意をして待っているそうだ。



アボジ(親父)も今日は早く帰って来るそうだ。



俺達は、車に乗って白金台の実家に向かった。