『それじゃあ、専務の奥さん、いつもキーキー言ってるんじゃないのか?』



「ハハハ、正解!

正にそんな具合だから、李 龍河(イ・ヨンハ)も親に内緒で役者になったりって反発してるわけ!」



『そっかぁ自分のプロダクションの抱える役者になったのを、役員である親が知らなかったのか!?』



「父親である専務には話していて了解を得ていたって言ってたけど、お母さんの方は全く知らなかったみたいだよ。」



『何か話聞いてるだけで大変そうだなぁ。

まぁ、お前の会社に成るんだから、頑張って重役をやり込めるだけの力を付けとけよ。

微力だけど、俺も何か出来ることが有ればその時は手を貸すからさ!』



「ありがとうテギル。

ヤッパリあの時お前に会ったのは、俺達の縁(えにし)なんだよな。

テギル、これからもずっと友達だかんな!」



『当たり前だろ。

嫁さん同士も友達になったし、俺達4人は永遠の義兄弟みたいなもんさ。』



「そうだな。

ところで2号店はどうなんだい?」



『1号店をオンマ(母さん)に任せて2号店に俺が入っているんだけど、妻の雪美(ソルミ)の弟の鳳主(ポンジュ)が高校卒業してからプラプラしてたから、一緒にやろうぜって誘ったわけよ。

そしたらあいつ、メチャクチャ才能有るんだよ。

兎に角、教えたことは1回教えたら手順なんか、すぐに把握するし、味付けもそうだけど、盛り付けもかっこ良くてさ、俺が逆に参考にしてるよ。』



「テギルさんって、年下の人が遣ったのでも、良かったら自分が習うなんて、ヤッパリ凄いです。

なかなか自分より下の者の技術なんて認められないって言うか、認めたくないなんてところが有るから!

だから、テギルさんの料理はいつも進化しているんですね。」



『なんか、ソナちゃんに誉められると照れちゃうなぁ~♪』



「テギル、よそ見しないでちゃんと運転に集中してくれよ!

やっとの思いで結婚出来たんだから!」



『まかせとけって!

親父の事も有るからいつも安全運転だよ。』



「チャンスオッパ、テギルさんのアッパ(パパさん)って?」



「こいつが中学卒業して、高校に入学するその数日の間に、交通事故で亡くなったんだ。

だから、テギルは中学までしか学校に行けなかったんだ。」



『悪いけどチャンス、俺お前と出会ってからチャンスのパパさんのすすめも有って、夜間だけど高校通ったんだぜ。

一応高卒よ。

それも首席でな!


俺は遣れば出来る男なのさ♪』



「凄いじゃないかテギル!

俺も、もっと頑張らなくっちゃ!」



『充分頑張っているじゃないか!

無理しすぎるから、この前みたいな事故を起こすんだよ。

あのあと俺もネットワークニュースをパソコンで見たけど、凄い大事故じゃんか!

車大爆発の大炎上って!

良く生きて戻ってきたな。

下手すりゃあの世行きじゃんか!』



「そうなのよテギルさん。

チャンスオッパはね、1度心臓が止まって、もう二度と会えないって思っちゃったんだから!」



あ~ぁあ! ソナがまた思いだし泣きしだしたよ。



『ソナちゃん、これからはこいつに無理させない様にソナちゃんがコントロールしていくんだよ。

頑張れ!』



「ヒック‥‥うん‥‥!」



そして、車は仁川(インチョン)国際空港に到着した。



テギルと別れを告げて、俺達は国内線の搭乗口の方へ向かった。