『それってさぁ、良くテレビのドラマなんかで出てくる会社の派閥争いみたいなやつか?』
「まぁ、そういうこと!
俺のアボジ(親父)ってさぁ、会社を作って代表を置いて、その代表に任せっきりで遣ってるのよ。」
『そんなことしたら、会社を乗っ取られるじゃん!』
「ところが、子会社は全て独立採算制度で、年間売上の5%だけを新星グループの方へ納めれば、それでOKみたいなことになってるから、乗っ取られると言うよりは、ハナから会社をあげちゃってるわけ!」
『流石、高(コ)会長!』
「でも、皆さん俺のアボジ(親父)に惚れ込んで着いてきてくれてるから、子会社の社長達は全然って言って良いくらい問題ないんだよ。」
『じゃあ何処の派閥争いなんだい?』
「そりゃ一番デカイ新星グループの母体とも言える新星MUSICだよ。
売り上げって言っても、新星グループの中じゃ2番目に売上の多い新星ファンドの10数倍は利益出してるし、新星ファンドも、代表はアボジ(親父)だから、新星グループの売上ナンバー1とナンバー2がアボジ(親父)の采配で行われているんだ。
その上、売上ナンバー3位のニュースターエクスプレスって運送業は、代表取締役がアボジ(親父)の弟分みたいなもんで、創業以来トラック1台からスタートして、ずっと売上を伸ばし続けてくれてるんだから。
年間売上の5%って言っても、驚く数字を叩き出してるんだから。」
『それじゃ、お金も有って、会社の采配権もあって、信頼できる部下もいて、何が問題なんだよ?』
「その母体の新星MUSICは、会長である俺のアボジ(親父)が本社社長も兼任しているんだが、従弟の副社長とは問題なくやっていても、専務派閥はかなり入りくんだ人間関係で構成されているんだよ。
アボジ(親父)は、《あんなもん、邪魔ならいつでも解体出来るさ!》なんて言っているけど、かなりには力を付けてきているから、厄介な存在になってきているんだよ。」
『厄介って?』
「専務は、元々アボジ(親父)の小学校時代からの親友なんだけど、実家は小さな貸しスタジオ屋さんをしてたんだ。
だから、学生時代バンド組んでアマチュアで遣ってた頃は金がないから、専務の実家の貸しスタジオ屋さんをただで使わせてもらっていたそうなんだ。
メジャーデビューした頃は、親父達のバンド初代XYZのマネージャーみたいなこともしてたそうだよ。
なかなか頭が良くて、しっかりしていたから、解散してアボジ(親父)が会社を起こした時に、一緒に組んで頑張ってくれたってアボジ(親父)が言ってたよ。
でも、メチャ気が弱くてスタジオをただで使わせていたのも、多分アボジ(親父)のごり押しで仕方なく貸してたと思うよ。
ところがある日、その専務に彼女が出来たんだけど、それがなんと金銀宝石売ります買いますの【BIG金(キム)ジュエリー】の初代会長の孫娘の金 銀姫(キム・ウニ)、今の奥さんだったんだ!」
『え~っ!
それじゃあ、メチャクチャ逆玉婚じゃんか!』
「アボジ(親父)から聞いた話だけど、彼女の方が専務を気に入って、押し掛けてきたみたいなんだよ。」
『金持ちの彼女が、押し掛け女房にかぁ~♪』
「テギル、笑い事じゃ無いんだぜ!
押し掛けて来るくらい気の強い奥さんを想像してみて!
旦那さんは気の弱い温厚な性格なんだぞ!
因みに、奥さんの本当の実家は釜山だからな!」
『は~ぁあ?
ただでさえ釜山の女は気が強いって有名なのに、更に押し掛けて来るくらい気の強い奥さんって!
やばい!
俺には無理だな!』
「だろう!?
だから、旦那さんが専務に成った時、奥さんの実家から弟のチョルスさんがやって来て、気が付いたらいつの間にか専務の奥さんの弟が副理事になってたよ。
アボジ(親父)も、しっかりしてほしいよ。
まぁ兎に角、奥さんの銀姫(ウニ)さんは、自分の息子をいずれ次期社長にって狙ってるみたいなんだよ。」
『その銀姫(ウニ)氏の息子って!?』
「若手アクション俳優の李 龍河(イ・ヨンハ)なんだ。
本人は、生涯役者って思っているから、お袋さんの押しの強さに辟易(へきえき)してるんだけどね!」



