CHANCE 2 (後編) =Turbulence=






今日は7月7日。



俺の誕生日である。



今、韓国に来ている。



事故の後2週間で退院して、結局5月いっぱい活動を休止して休養を取り、6月から日本支社での業務を務めている。



5月の休養期間中は、ミュージシャンや常務取締役としての仕事はしていないものの、事故の件に対し心配をお掛けしましたと、各局を回って出演に穴を空けたことに対するお詫びをして回った。



勿論、昼間や夕方の情報番組にも出演して、視聴者にも詫びて心配をお掛けしましたと、頭を下げる日々であった。



6月から、気持ちも新たに音楽番組に出演したり、レギュラーのラジオ番組を再開したりと少しずつ忙しくなってきた。



来月には夏フェスにも出演依頼が来ているので、それに向けての曲のアレンジもコツコツとやり、6月半ばにはアレンジも終わり、時間が空いているときは新星MUSIC日本支社のスタジオで練習したりして過ごしている。



今回の夏フェスは、ORJANGの二人と俺の3人で、後の演奏のメンバーは【魁】のメンバーに頼んでみた。



快くOKしてくれたので、彼等にもチャンスをと思い、魁のボーカルの進藤瑛太にも、俺の曲を歌って貰い、序でに彼等の最新のナンバーを1曲、俺も彼等と一緒に歌う事にした。



夏フェスに出れると大興奮だった彼等が、自分達の曲まで歌えると、正に狂喜乱舞のはしゃぎようだ。



だから、毎日遅くまでスタジオに籠って練習だ。



ソナが心配して迎えに来てくれる。



俺が帰った後も、魁のメンバーは結構夜中まで練習しているそうだ。



たまにスタジオの中で寝ている。



たまには家に帰って着替えてこいと言う俺も、酷いときは丸2日籠りっきりで練習したりしている。



7月に入ると、俺のスケジュールは第3土・日の夏フェスのみになり、練習して帰宅しての繰り返しだ。



しかし、今日の5日から韓国行きだ。



成田から大韓航空の飛行機に乗り、仁川(インチョン)国際空港に到着した。



空港には、大親友のテギルこと金 大吉(キム・テギル)氏が出迎えに来てくれていた。



「よう、チャンス!

こっちこっち。」



『テ~ギ~ル!』



「俺の名前を大声で叫ぶなよ!」



「またこうして、生きてテギルに会えて嬉しいよ♪」



『そんな大袈裟な!』



「俺さ、4月末にさ、ハイウェイで居眠り運転して死にかけたんだ。

手首に鎖骨に肋骨が2本に大腿骨にと、あちこちの骨が折れて、頭からも血がたくさん出てさ、マジで《あぁ、俺もう死んじゃうのかぁ!》って思ったんだから。」



『どうして連絡してくれないんだよ?』



「だって、そっちだって奥さんは妊娠中だし、2号店はオープンしたばかりだし、そんな時に心配掛けたくないじゃん!」



『水くさいなぁ!

でもまぁ、元気になって良かったな!』



「やっぱ生きてるって良いなぁ!」



『それより荷物は?』



「これだけだよ。

後は、ハラボジ(御祖父さん)の家に殆ど揃っているから。」



と言うわけで、迎えに来てくれたテギルの車に乗り、江南(カンナム)のじっちゃんの実家に向かった。