この事故の4ヶ月前、ギタリストナンバーワンを決める大会G-1グランプリの最終日、結果発表は夜の7時、ひまわりTVでの生放送で発表される。
インターネットでの受付は終了しており、番組中に今一度二人に演奏してもらい、デジタルテレビに内蔵されているdボタンの青のボタンと赤のボタンでの投票数を加算して、競いあってもらうのだ。
そして、結果は最初の予想通り、優勝したのは堺皇成君だった。
主催者の新星MUSICから、賞金1,000万円を支払い、スポンサーの自動車会社H社からハイブリッド車を!
準優勝した流 智典(ながれとものり)には、準優勝賞金300万円と高級ギターアンプを!
優勝した堺皇成の所属しているバンド
【ブロークンヘッド】
彼等のバンドは、堺皇成が優勝してから毎日仕事が入り、急に忙しくなった。
ファイナルステージで作った曲は、ブロークンヘッドの新曲として、新たにアレンジしてCDショップに並び、翌週のオリコンでトップ10に食い込んできた。
小耳に挟んだ話では、春から始まるドラマの主題歌としてタイアップが決まったそうだ。
準優勝した流 智典だが、これを気にインディーズからメジャーデビューを果たした。
所属先?
そんなもの、聴かなくてもきまってるだろ、新星MUSICからに決まってるだろ。
グループ名の【魁】も、そのまま残し、音楽の方向性もそのままだ。
ただ違うのは、彼等が音楽に打ち込める環境が出来たことと、専属のマネージャーが付いた事くらいだよ!
どんどんと腕をあげてもらい、良い曲を生んでもらいたい。
その為には、絶対にぬるま湯に浸かった様な気持ちにさせないように、給料は完全に歩合制にしてある。
遣れば遣るだけ高みに望めるのだ。
遣らなければ、インディーズの時と何ら変わらないのは、まぁ当たり前の事だよな!
彼等にしてみたら、日々の練習場所が在るだけでも嬉しいことだと言っている。
確かに、毎日何時間もスタジオレンタルするだけで月に30万円くらい掛かるから、インディーズで人気が有ってもスタジオ代は大変である。
それが新星MUSICに所属すれば、毎日唯で使い放題なんだから、直ぐに契約書にサインしてくれた。
後は、毎日の練習の積み重ねと音楽センスを磨くことと、嫌でも商業ベースに乗った曲も頼まれたら遣らなきゃいけないことがたまにあるくらいだ。
そんなこんなで頑張り始めた彼等も、少しずつ人気が出てきた。
そして3月半ば、ブロークンヘッドと魁は、同じ音楽番組で再会をすることになった。
以前XYZが遣ってたミュージックヒストリーのゲストとして呼ばれたのだ。
その頃、俺は毎日スタジオに籠って、自分の新曲として2曲、ORJANGの新曲として2曲の計4曲を作り上げちょっと睡眠不足気味である。
そのままSeijiさん達ナイトメアのメンバーと共にライブツアーに出発する事に。



