CHANCE 2 (後編) =Turbulence=






「コヨンは巨連と書くんだけれど、長寿王の諱(いみな)なんだよ。」


『諱(いみな)!?

いみなって何なの?』



「まぁ、本名みたいなもんだよ。

ドラマになって有名なものだと、広開土王とかだと談徳(タムドク)だし、東明聖王だと朱蒙(チュモン)ってところかな!」



『そうなんだ。

コヨンかぁ!

強そうな名前だし音の響きも良いね。』



「だろう!

じゃあコヨンで決まりな!」


『コヨン!コヨン!

今日からあなたは高家(コガ)の家族だから、高 巨連(コ・コヨン)ね!

あなたのお家は、今日からここよん!』



「だじゃれ?親父ギャグ?

ソナ?大丈夫か!?」



『ここは笑ってスルーしてくれなきゃ!

オッパのイジワル。』



「ジョークジョーク!

ごめんって。

先ずはコヨンを洗ってあげなきゃだよな。」



『正月明けには、予防接種もね!』



「6種混合ワクチンの予防接種だね。

任せといて。」



『ところで、コヨンは雑種なの!?

見た感じは、ちゃんとした血統書の有りそうな顔してるんだけどなぁ。』



「多分、血統書登録する前に捨てられたみたいなんだよなぁ。

ソナ、コヨンって何犬かわかるかい?」



『えぇ~!わかんない!

このグレイの縞模様の感じは、どっかで見たことが有るんだけどなぁ~!』



「この模様は虎毛って言うんだよ。

そして、コヨンは間違いなく秋田犬だよ。」



『ホントに?

こんなちっちゃいコヨンが秋田犬?

信じられない。』



「何言ってるんだい!?

俺だって、今でこそ身長は186cm有るし、体重だって77kg有るけど、生まれた時は、2970gしか無かったんだから。

この子だって、直ぐにでかくなるんだよ。」



『そうなんだ。

じゃあコヨンを抱っこ出来るのも後もう少しの間だけなんだね。』




「まあ、そういう事になるね。

それに、秋田犬は一年中毛が抜けるから掃除も大変だよ。」



『外で飼うのは寂しいしね。』



「秋田犬は、寒さには強いけど暑さには弱いから!

真夏に外で飼おうものなら、あっという間に熱中症だよ。」



『そっかぁ!

じゃあ、どうするの?』



「そうだなぁ、リビングの外に20畳程の犬小屋を増設して、エアコンの冷気が流れ込むようにして、尚且つ、いつでもふれ合えるように簡単に往き来出来るようにして、コヨンが寂しくないようにしてあげようか。

そうすれば毛が抜けても、コヨンの部屋だけクリーナーすればすむだろう!?」



『そうだね。

コヨンの小屋の奥にコヨン専用のトイレも作らないとね!

簡単に流せるように水洗にしてよね!』



「任せときな!

水谷工務店のヒロに頼んだら、簡単に作ってくれるんだから!」



『そっかぁ!

ヒロさんのところにも大きな犬が居たわね!』



「あれは、セントバーナードだからなぁ!

半端ないでかさだよ。

奴の犬小屋なんか、6畳二間と水洗トイレも付いて、一家族が住めるくらいの広さなんだから。」



『私も初めて見たときは驚いたんだから。

犬の為に水洗トイレって!

でも、今考えたら納得よね。

そこで用を足す訳じゃ無くて、ワンちゃんの用を足した後のを流すためなんだから、手間が掛からず便利よね。』



「だろう!

あれを作ってもらうよ。」



『じゃあオッパ、お願いしますね。』



と言うことで、明日ヒロと薫が遊びに遣って来たら頼むとするか!