正月を韓国で過ごし、1月3日の夕方に漸く日本に戻ってきた。
あの後ハヌルは、小さな声で《伝統的な婚礼式》はいやだよ!とか、ウェディングドレスを着たいよ!と、抵抗していた。
まぁ披露宴では、ウェディングドレスも着るし、白無垢や綿帽子を着てのお色直しも有るから心配ないよ!と、説得したので機嫌を直していた。
KYUも、韓服を着たり紋付き羽織袴を着たり、モーニングも着て、最後には艶やかなスーツ姿で披露宴会場に登場するそうだ。
そこで、披露宴に来てくださった参列客の方々の為に、歌うことになった。
まぁ、来年の話だけどね!
その時は、俺も余興で歌って祝おうと思う。
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翌日、新星MUSIC日本支社に出社してから、愛車のエリシオンに乗り込み、新星音楽会館へ向かった。
ギタリストナンバーワンを決める大会G-1グランプリ!
ファイナリストとして残っていたのは、やはり堺皇成でもう一人はインディーズの世界ではかなり有名なギタリストだ。
名前は、流 智典(ながれ とものり)と言って、ハードロックバンド【魁】のギタリストでありリーダーでもある。
流と堺の一騎討ちの対決は、本家アメリカと同じく、短時間で作詞作曲した物をネット配信して一般からの投票方式をもって決勝の雌雄を決することになっている。
1月2日の朝9時からネット配信され、ネット配信していることに関しては、TVのCMでバンバン告知している。
その間、決勝の二人も自由で8日の朝9時までに戻ってくれば良いと言ってある。
なので現在、新星音楽会館には警備員が交代で見回りしているだけで、大会関係者は誰も居なかった。
折角此処まで来たのに‥‥‥‥‥‥‥‥
しかたがないので、人形町の自宅に戻ることにした。
ふと、会館の玄関口の横を見ると、一匹の仔犬がフラフラと迷い混んでいた。
試しに、その仔犬のビジョンを観てやろうと、特殊能力を封印している指輪を外してみた。
今まで動物のビジョンは観たことが無かったので、出来るかどうか半信半疑ではあったが、1弦開放でその仔犬を見てみると、何と!
見えるもんである。
この仔犬は、たくさん生まれた仔犬の中の一匹で、残りの仔犬達は里親達に貰われていったが、病弱そうであまりにもじっとして動かなかったし、餌もあまり食べないというので捨てられてしまったのだ。
今も痩せ細り、寒さで震えながらも、尻尾を振りながらゆっくりとこちらに近づいて来る仔犬がかわいそうになり、つい抱き寄せて仕舞った!
そうなるともう可愛くて離したくなくなり、気が付けば人形町の自宅に連れて帰っていた。
『オッパお帰りなさい。
早かったですね。
アッ、可愛い~!
どうしたんですか?』
「新星音楽会館まで行ったんだけど、誰も居ないから帰ろうと表に出たら迷い混んでいたんだ。」
『うちで飼いましょ!?』
「そのつもりで連れて帰ってきた。」
『名前は、もう決まったの?』
「まだだよ。
ソナと一緒に考えようって思ってたから。」
『取り敢えず家に入りましょ!
玄関じゃ寒いわよ。』
「そうだね。
ちょっと車から荷物下ろしてくるよ。
帰りにペットショップに寄って色々買ってきたから。」
『分かったわ。
さぁワンちゃん、いらっしゃい!』
「先ずは、何か食べさせないとね!
これが仔犬用のミルク。
人間が飲むミルクを飲ませると、お腹くだしちゃうからね!」
『人肌に暖めてっと!
はい、ワンちゃん召し上がれ。』
よっぽどお腹が空いていたのが、あっという間に平らげてしまった。
「で、名前どうする?」
『善雅(ソナ)の善の字と、長寿(チャンス)オッパの長の字を併せて、善長(ソンチャン)なんてどうかな!?』
「う~ん!
却下!
何かカッコ悪い。」
『ヤッパリ!』
「善雅(ソナ)の雅の字と、俺の名前の寿を併せて寿雅(スア)だと女の子の名前になっちゃうしな!」
『そうよ。
それに、寿雅(スア)って名前は、私達に女の子が生まれたら付けようと思ってた名前だから、ワンちゃんにはあげない!』
「そっかぁ、寿雅(スア)‥‥‥高 寿雅(コ・スア)かぁ!
良い名前だね♪
俺達の間に女の子が生まれたら、絶対この名前だね!」
『良いでしょ!
って、このワンちゃんの名前どうする?』
「オスだし、カッコイイ名前が良いな!」
『歴史上の名前はどう?
例えば、朱蒙(チュモン)とか、烏伊(オイ)、摩璃(マリ)、狹父(ヒョッポ)みたいに!』
「それなら、 巨連(コヨン)なんてどうかな!? 」
『コヨン?
どういう意味なの?』



