テーブルの上にはパンチャンと呼ばれるおかずの数々が、ところ狭しと並んでいた。
ナムル(オヒタシや和え物)類も、定番の豆モヤシナムルやホウレン草ナムル、ゼンマイやトラジ(桔梗の根)のナムルなど、全部で8種類も並んでいた。
キムチも、白菜や胡瓜のキムチの他にも大根を角切りにしたカッテゥギや小さな大根を漬けたチョンガクキムチ、水キムチや人参葉のキムチなど、9種類もある。
他にも、サンチュ(チシャ)や生の青唐辛子、生のニンニク、メンテイ(干し鱈)のコチュジャン和え、ズッキーニの韓国風ピカタ、ケランチム(韓国風茶碗蒸し)、エゴマの葉の醤油漬け等々、凄い量だ。
これらは韓国では、食べ物やさんでは何処でも出てきて、多少種類や量に違いは有るが、その全てが無料のサービスで、おまけにお代わり自由なのである。
しかし、俺達若者は野菜より肉だ!
プルコギ(焼肉)やタッカルビ(鶏肉の甘辛煮込み)、アグチム(鮟鱇の甘辛炒め)、チョッバル(豚足の煮込み)、ポッサム(煮豚)等々凄い勢いで注文していた。
注文した料理が、次々とテーブルの上に並び、皆でワイワイ言いながら食事した。
兎に角、何を食っても美味いのだ!
テギルの奴、前回食べた時よりも更に腕を上げている。
と、そこに厨房からテギルが出てきた。
テギル 『皆さん、如何でしたか!?』
PJ 「俺のお袋の実家が金泉市なんだけど、ここには慶尚北道の郷土料理は置いてないんですか?」
テギル 『いやぁ、
うちが慶尚北道の金泉市出身だから金泉(キムチャン)食堂って名前にした訳じゃ無いんですよ。
うちの親父が、金の湧く泉の様なお店にしたいからって金泉食堂にしたんですよ。
良く言われるんですが、ソウル生まれのソウル育ちなんです。』
アボジ 「テギル君、このタッカルビ、以前食べた時よりも数段に旨くなってるよ。
何か秘密の調味料でもあるのかい?」
テギル 『高(コ)社長、鋭いですね。
実は、自家製の柿酢を入れたんですが、去年は柿の出来が良かったから、良い柿酢が出来ました。
宜しかったらチャンスママ、1本瓶詰めしときますので、もってかえって下さい。』
オムニ 「本当テギルちゃん?
うれしいわ!
とってもスッキリした味で、癖になりそうだわ。」
テギル 『ありがとうございます。
そうだ、チャンス!
俺な、今年の春には2号店を出すことになったんだぜ。
あの僅かな日銭を稼いで、ヒーヒー言ってた俺がだぜ!』
チャンス 「マジで!?
おめでとう。努力した甲斐があったな。」
テギル 『あぁ、これからもっともっと頑張るぜ!』



