CHANCE 2 (後編) =Turbulence=






インチョル君とウィドク君が名刺を作っている間に、封印の指輪を外して二人のビジョンを覗いていた。



まずは、仁哲(インチョル)君の過去のビジョンから!



彼は、なんと1度死にかけていた。



産まれて直ぐに肺炎に掛かり、10日以上もの間生死をさまよっている。



それ以来、両親からかなり大事に育てられていたが、それが逆に煩わしくて荒れた高校時代を過ごしていた。



逆に義徳(ウィドク)君は、兄の仁哲(インチョル)君ばかりを大事にする両親に、自分の事は放って置かれたと勘違いして、これまた荒れた高校時代を過ごしていた。



しかし、兄弟同士は仲が良く、二人で何度も家出をしては、深夜の繁華街で補導されていた。



これだけだと困った双子だが、未来のビジョンを見て驚いた。



彼等の未来には‥‥‥‥‥


それはまたいずれと言うことで……。


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弟の義徳(ウィドク)君には、俺の代わりにORJANGの広報活動に専念して貰っている。



ORJANGの新曲のシングル

【泣いたって良いじゃない】

【君へのメリークリスマス】



の両A面CDを持って、ラジオ局やTV局へ回ったり、CDショップにも回って、目立つように平積みして貰ったり、宣伝してくれるところには殆ど毎日回ってくれている。



この間なんかは、バラエティー番組にORJANGと共に行き、連続腕立て伏せが出来た回数×秒数で、CMタイムを120秒も勝ち取って、その場でCDをかけてもらい、ついでに握手会やサイン会の告知も出来て、ORJANGの二人からも信頼されてきだした。



兄の仁哲(インチョル)君は、第1秘書の河(ハ)秘書に付いて、秘書職務の勉強中である。



スケジューリングやアポイントメントの取り方、許可申請の方法から挨拶の仕方まで、事細かく学んでいる。



名刺交換のマナーから電話の応答の仕方まで、秘書職務に関する全てを叩き込んで貰っている。



若さのお陰で飲み込みも早かった。



池(チ)秘書と河(ハ)秘書か‥‥‥‥



池と河、相性は良いみたいだ。



駆け足で過ぎていった12月も明日で最後。



明日の31日から元旦の3日までの4日間は、新星MUSICはお休みである。



しかし、タレントの一部とアナウンサーの数名は、年末年始も業務が有るそうだ。



俺もORJANGの二人も、この正月休みは何も入っていない。



って言うか、俺は24日のクリスマスイブのライブが終わった時点で、年内の仕事は終了である。



ORJANGの二人も、25日のクリスマスライブが年内の最後の仕事であった。



と言う訳で、実は今俺達は4日前から韓国に来ているのだ。



メンバーは、俺とソナ、ORJANGとハヌル(俺の妹)、仁君に義君、そして、俺のアボジ(親父)とオムニ(お袋)の計9人だ。



大韓航空のファーストクラスで遣ってきたのだ。



なんたって、あの無駄の塊の自家用ジェット機は、処分させたから。



買った時は新品でも、売ったときは中古だから、たったの1億円にしかならなかったが、後々の維持費を考えれば文句なしだ。



ソウルのハラボジ(祖父さん)の家に全員到着したのは午後3時位で、ソナはそこから母親の実家に電話を入れて、明日の午後に帰ると報告して、今日は俺と一緒に過ごすことになった。



仁君と義君は、以前俺が籠っていた地下の部屋を自由に使って良いよ!って言ったら、メチャクチャ喜んでいた。



KYUとハヌルは、2階の俺の部屋の隣の部屋、元はハヌルが韓国に来たとき専用の部屋に泊まり、アボジとオムニは昔からアボジが使っている書斎と繋がっている二間続きの12畳の寝室に、PJこと朴 在虎(パク・ジェホ)は、1階のゲストルームに泊まることに。



兎に角、ハラボジ(祖父さん)の家はデカイ。



アボジのお姉さん家族が住む、韓屋(ハノク)の離れもあるし、全部で部屋だけで10部屋以上在る。



以前俺が籠っていた地下の部屋は、他の部屋同様オンドル(温床)部屋に改造されていて、仁君と義君も大喜びだ。



俺は、久し振りにテギルに電話することにした。



大吉(テギル)は以前、くもすけタクシーをしていた奴で、今は改心してお袋と一緒に食堂を遣っている気の良い奴である。