余りにも核心に迫って仕舞うと、ややこしくなるので、話を逸らすために、
「ところでアボジ(親父)、地下にあるスタジオの隣に扉が有りますが、あの奥ってどうなっているんですか?」
と、気になっていたことを聴いてみた。
その瞬間、ホッとした表情になったアボジ(親父)から聞かされた内容は、呆れ果てて仕舞うものであった。
『アッ、あれねぇ。
彼処は、この家の裏手にある民家と繋がっているんだよ。
だから、内装工事に1年もかかってしまったんだよ。
ソナちゃんが、裏手にある民家の駐車場に車を停めて、家の中に入ったら、一番奥の寝室にあるウォークインクローゼットっぽいドアを開けたら階段が有るから。
そこを降りたら、丁度こっちの地下にあるスタジオの奥の壁から2メートルしか離れてないから。
厚さ30cmちかくある濃密度のコンクリートパネルを埋め込んでいるから、100年以上何ともないから。
震度8の地震が来てもびくともしない構造に成っているから安心だよ。』
「またくだらないことにお金使って!」
『何がくだらないことにだよ!
お前達の為に作ったのに。
ソナちゃんが、裏手の民家に出入りしていても、誰も不審がらないし、毎日一緒に居られるんだぜ。
その上、もしややこしいマスコミのスキャンダルに巻き込まれても、チャンスは地下を通って裏手の民家から脱出できるし、凄く良いアイデアだろう!?』
「叔父様素敵!!!
オッパ、これでいつも一緒に居られるよ。」
「ん‥‥うん‥‥‥そうだね‥‥」
「オッパ~!
嬉しくないの!?」
「そんな、シオムニ(御義母さん)の前で、嬉しくないの!?なんてストレートに聞かれても、照れちゃって‥‥‥」
「チャンスや!
まぁ、使用用途は色々有るから、上手に活用して、地下のトンネルの事は内緒にしとけよ。
知っているのは、ここに居る4人と、ヨンミちゃんにハヌルちゃんに後は水谷工務店の内装スタッフだけだから。
勿論、役所には認可の関係上、届け出はしているが、役人達は良くわからないまま、認可の判子を押しているから大丈夫でしょ。」
「分かりました。
巧く活用させて頂きます。
ソナも、これでいつでも来れるね!
他の人には言わないようにしなくっちゃね!」
「うん。
オンマ(ママ)、私のFIT乗って帰ってくれるかなぁ。
それと、目立たない色のFIT
に買い替えるから。」
『もう、勿体無い!
分かったわ。
白のFITを用意しといてあげる!
この赤のFITは私が乗るわ。』
「ありがとうオンマ(ママ)。
叔父様も素敵なプレゼントありがとうございました。」
『良いよ!
じゃあ、はいこれ!
裏手の民家の玄関のカギと、地下の扉のカギはソナちゃんが持っといて!』
「どうもすみません。」
『チャンスや!
これはスペアキーだから!
無くさないように。
地下の扉のカギも一緒についているからな。
暗証番号は、まだ00000000のままだから、二人だけが分かる八桁のナンバーを設定しときなさいよ。
それじゃあ、そういう事だから。
私は帰るからな!
たまには実家に顔を見せに来なさい。』
「はい、アボジ(親父)ありがとうございました。お気を付けて。」
『それじゃあソナ、私も帰るわよ。
貴女も、たまには実家に顔を見せに来なさいな。
じゃあチャンスさん、ソナを宜しく頼みますわよ。』
と、二人とも言うだけ言って、慌ただしく帰って行った。
家に残った俺達は、漸く落ち着いたので、ハワイからの贈り物のコナコーヒーを飲みながら、一息付いてから地下を探索することにした。



