明けて木曜日、今日はバレンタインと言う事もあって、どこに行ってもチョコレートを渡される。



一応笑顔で



「ありがとう♪」

と言ってチョコレートを受け取る。



市販のチョコレートならば、食べることも出来るかもしれないが、手作りチョコとなると話は別である。



初めてファンの子達から貰ったバレンタインのチョコに、俺達XYZのメンバーも、その驚くほどの数にテンションが上がりまくったものである。



市販のチョコレートも、かなりゆうめいな高級洋菓子専門店のものだったりして、1口食べてその旨さに1週間で5kg太ったくらいだ!



しかし、あることに気が付いてしまったのだ。



手作りチョコの味に対して、微妙に違和感を感じた俺は、アボジ(親父)の知り合いの製薬会社のラボに頼んで、チョコレートの分析依頼をしたのだ。



その結果、分かったことがある。



そのチョコレートの中に最も多く含まれていた変なものは人毛で、その次に多かったのが唾液、そして血液である。



彼女達は、手作りチョコの中に自分達の体毛や唾液や血液を練り込み、食べてもらおうとしていたのだ。



手作りチョコの全てがそうだった訳では無いが、去年でも手作りチョコの8割以上に含まれていたのだ。



それいらい、手作りチョコは内緒で廃棄処分して、市販のチョコレートは後輩たちにあげてた。



あまりにもショックで、チョコレートを食べる気分には到底なれない俺達だった。



しかし、それが愛するソナからの手作りチョコなら、甘党の俺は幾らでも食べれるのだ。



昨晩は、ソナとハヌルの二人で白金台の俺の実家で手作りチョコを作っていたそうだ。



妹とハヌルを大学に送ってあげるときに、ソナから手作りチョコを貰った。



後部座席では、ハヌルもKYUにチョコを渡していた。



大学に二人を下ろしてから、俺とKYUは新宿にある新星MUSIC日本支社へ向かった。



これから取材が3社入っていて、面倒くさかった俺は、新星MUSIC日本支社へ時間差で3社の雑誌記者をよんでいたのだ。



雑誌記者としても、滅多に入ることの出来ない新星MUSIC日本支社内へ入れるとあって、喜んでくれていた。



最初の取材は、月刊音楽マガジン
【What's out ?】



取材は、新星MUSIC1階のゲストルーム【礼の間】と言う処で行うことにした。



この部屋は20畳程の洋間で、ライトブルーの壁紙で明るい《洋》のテイストと、大きな窓の外には庭園が見渡せる、《和》のテイストとの融合した感覚を味わえる、落ち着いた感じのゲストルームとなっている。



10時丁度に遣ってきたのは、記者1名とカメラマン1名カメアシ1名の計3名であった。



俺は、来月から始まるギタリストナンバー1を決める大会【G-1グランプリ】の話を、KYUは韓国に短期的に拠点を置いて活動中の心境等を話し、1時間の取材はおわった。



「本日は、わざわざこちらまでお越し頂きありがとうございました。

また、何か有りましたら宜しくお願いします。」



と言って、俺とKYUは深々と頭を下げた。



『こちらこそ、こんな素敵なゲストルームでの取材は初めてです。

新星MUSICの社内には、中々入れませんもんで、嬉しく思っております。

それでは、今回の取材は来月号に掲載されますので。

雑誌が出来上がりましたら、何冊かお送りいたしますので。

それでは、お忙しい中、私どもの取材を受けて頂きありがとうございました。

これで失礼致します。』



と、深々と頭を下げて帰っていった。



その後も、都内のイベントを紹介する雑誌や、メンズファッション紙の取材をこなした俺達は、お昼1時になったので社員食堂に向かった。



<あ~ぁあ! 腹減った!>