新年を迎え、ケントを除いた元XYZのメンバーと、ジョージの婚約者の那奈ちゃんやテジュンの奥さんの美里さん、それに俺の妹のハヌルとテジュンの妹のソナ、そして天道新(シン)と婚約者の鎌田章子さんの10人で、千代田区に在る神田神社に来ている。
毎年30万人が初詣に参拝すると言われるだけあって、凄い混雑である。
時刻は、元旦の深夜1時を少し回ったところだが、駐車場の空きが無く、おまけに凄い渋滞で、先程から1時間程経つが200mと進んでいないので、停める事も出来ないでいる。
Uターンする事も出来ず、横道に逸れてこの場を脱出する事も無理みたいだ。
ルームミラーで後ろを見れば、シンの運転するホンダのインサイトも、渋滞ではかっこいい走りを見せることも出来ずにノロノロと付いてきている。
漸く蔵前橋通りから、清水坂下の交差点を南へ下り、どうにか17号線手前左に在る、新星MUSICが経営している、第13NSスタジオへ到着した。
文京区湯島1丁目にあるこのスタジオは、通称湯島スタジオと呼ばれ、東京医科歯科大学の学生が良く利用してくれている。
そこは、約20台程の駐車スペースがあるのだが、1月3日迄定休日となっているので、敷地内の出入口にはチェーンが張られており、中に入れなくなっていた。
車から降りた俺は、沢山の鍵の束の中から、チェーン施錠を開ける鍵を見つけ鍵穴に差し込んだ。
カチァリと乾いた音と共にチェーンは外れ、駐車場に駐車してから、今一度チェーン施錠して、全員で歩いて神田明神へと向かった。
「それにしても凄い人ごみだなぁ!」
『お兄ちゃん、変装しないと!』
「オット、そうだな。」
と言うと、ソナが編んだ手編みのマフラーを首から口元までグルグルと巻き付け、ニット帽も目深に被り、黒渕のだて眼鏡をかけた。
KYUは、ニューヨーク土産のキャップを被り、銀縁のだて眼鏡に白いマフラーを、やはり首から口元までグルグルと巻き付けていた。
『だけど、ジョージさんやテジュンさんと一緒に居たら変装の意味が無いね!?』
「それに、凄い混雑しているから、バレたらパニック状態になるかもしれないな!」
『取り敢えず、俺もジョージも変装するか!?』
「分かったじょ~!」
と言うと、ジョージは口元のマフラーで口元を隠して、ニット帽も目深に被り直した。
テジュンも同様に変装して、無事に参拝してきた。
『おいら、大吉なのらぁ~!』
「こんな日って、悪いお札なんて入れてるの?」
『ヒョン、ボク凶です‥‥‥』
「‥‥‥まぁ、あれだ‥‥‥たまにはこんな事もあるって!
悪い事がおきないように気を付けましょうね!って事だから、余り深刻に考えなくて良いよ!」
『ユーオッパ、私も凶なんだけど‥‥‥』
「二人の愛の試練でも有るのかな?
破局とか?」
『お兄ちゃん、酷いよ!』
「ゴメンゴメン!
何か有れば、俺が全力で助けてあげるから、二人とも落ち込まない!」
『『ハイ‥。』』
「さて、これからどうする?」
『初日の出を見に行こうぜ!』
と言う訳で、シンのインサイトに婚約者の鎌田章子さんとテジュン夫妻が乗り込み、後は俺の車に乗り込み、初日の出を見るために葛西臨海公園へと向かった。
途中コンビニで缶コーヒーや御菓子等を買って、軽い渋滞中の首都高速湾岸線を江戸川区方面へ走らせ、葛西出口から一般道を新木場方面へ向かった。



